1. グロリアスドライヴ

  2. 広場

  3. 【エピローグ】

【エピローグ】

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戦後処理……と言えるほど落ち着いた状況ではないがね。
残留ナイトメアの殲滅、支配領域の解放、健全な社会の復活にはまだ時間が必要だ。
だが、こういった仕事こそ我々メガコーポや各国が果たすべき責務なのだ。
異世界の友が後顧の憂いなく旅立てるように、最大限の支援を約束しよう。

レイ・フィッシャー

■ヴァルキュリアの今後

「意思に目覚めた人工知能」であるヴァルキュリアの基本的な人権は戦前から与えられていました。
もっとも、ナイトメアとの戦争が終わった現在においてもヴァルキュリアについての研究は中途にあり、そもそも彼らがなぜ誕生するのかさえも解明できていません。
意思の有無の確認についても「IMDを使用できるか否か」といった曖昧な定義に基づいています。
それでも強引に彼らを一種のヒトとして扱ってきた理由は、人道的な観点というよりはナイトメアとの戦争という喫緊の課題に対し、EXISを操れる彼らをライセンサーとするためでした。
ヴァルキュリアの正体はよくわからない。しかし、人類にとって有益な存在である。
故に彼らは人類の仲間であり、基本的な人権を有している、という理屈です。

戦争が終わった今現在でもヴァルキュリアの扱いは変わっていません。
彼らは一つの心を持つ生命体として、人間と共に戦後の世界で活躍しています。
その一方、ナイトメア戦争の間、実益を重視して置き去りにされていた「ヴァルキュリアとは何なのか」の研究や、彼らが正しい意味で人間社会に溶け込んでいくための法整備などは始まったばかりであると言わざるを得ません。
意思を持ったAIという特異な存在に対して人間社会はどのように適応していくべきなのか、議論が続けられています。

これから先の地球でヴァルキュリアという存在がどのように変わっていくのかはわかっていません。
あるいは変化するべきなのは人間とその社会なのかもしれません。
SALFは戦後の世界でもヴァルキュリアと最も近しい国際組織としてその存在感を示しています。
ナイトメア戦争を共に生き抜いたSALFとライセンサーたちがいる限り、ヴァルキュリアの将来を悲観視する必要はありません。
しかし彼らが誰にも守られず、主張されずとも空気のように当たり前に生きていく未来までには、もう少しだけ時間がかかる見込みです。

■オリジナル・インソムニア攻略後の世界

北欧にてオリジナル・インソムニアを破壊した人類。
ザルバを筆頭に地球のナイトメアを率いたほとんどのエルゴマンサーも撃破に成功しています。
オリジナルに続き最後のインソムニアであったアフリカのニジェールインソムニアも陥落。
これにより事実上ナイトメアが組織的に人類に敵対することは不可能となりました。

地球にはまだナイトメアが残留していたりその影響から解放されていない場所があります。
こういった影響をすべて取り除くためには、まだまだ長い時間が必要な状況です。
ライセンサーの仕事も当分なくなることはないでしょう。

ナイトメアによる地球侵略は、転移の手段であったインソムニアを失い完全に停止しています。
つまり、地球に新たなナイトメアが異世界から現れることはありません。
しかしナイトメアという種自体は、この宇宙のどこかで今も強大な勢力を保っています。

進化の答えを求めるナイトメアに対し、人類は一定の成果を見せつけました。
放浪者やニュートラリダのような一部のナイトメアの力を借りたことを加味しても、オリジナル・インソムニアの攻略はナイトメアに大きな衝撃を与えました。
曰く、「勝利するのであれば人類はナイトメアの求める答えに近い存在」であり、今やその証明を完了した人類はナイトメアにとって単なる侵略対象、「餌」ではなくなってしまったのです。
進化のために侵略するのなら、もはやナイトメアは地球以外の世界を襲う必要性すらないのです。
つまりナイトメアは存在し続けるものの、異世界への侵略からは手を引いていると考えられます。

今現在、地球はナイトメアとのつながりを絶たれています。
今ナイトメアがどのような考えに至っているのか、すぐさま確かめる方法はありません。

■異世界転移の研究

オリジナル・インソムニアの破壊により、地球に生じていた特殊な「場」も解除されました。
この「場」はナイトメアが異世界から地球へ結んだゲートの副産物であるとされています。
これにより様々な世界から放浪者と呼ばれる人々が地球へ呼び込まれていたのです。
そして放浪者が地球から他の世界に転移することを妨害もしていました。

「つまりオリジナル・インソムニアを破壊した今、異世界への転移は可能となったのだペン」

異世界へ転移する機能を搭載した宇宙船で地球へ流れ着いた放浪者、ペギー。
彼らは元々異世界へ渡る技術を持ち、そしてそれを搭載した宇宙船を地球に持ち込んでいます。
インソムニアの妨害さえなければ、元々すでに地球には異世界転移の技術が存在しています。
しかし、その技術はあくまでもペギー達のものであり、地球用に最適化はされていません。

異世界に転移することは既に可能です。
しかし、宇宙船が記録しているのは「故郷」への旅路のみ。
つまり元の世界に正確に帰還できるのはペギーたちだけなのです。
様々な世界から集まった放浪者を正確に元の世界に送り返すためには研究が必要でした。

今現在、異世界への転移には2種類のアプローチが検討されています。
ひとつは転移先となる世界の「座標」を絞り込む方法を見つけること。
これが達成されれば放浪者を出身世界に送り届けることが可能となります。
しかし、上記の通り即座には実施できず、まだまだ時間のかかる方法です。

もうひとつは、転移先の「座標」を指定せずに転移する方法です。
もちろん狙った世界に転移することはできませんが、一度たどり着きさえすればその「座標」の情報が得られ、次なる転移に反映させられます。
何度も繰り返しランダムで転移を行い、少しずつ座標を修正していくという「旅路」です。
この旅は一方通行であり、元の世界――もちろん地球にも戻ることはできなくなります。
(理論上、すべての世界を一周したり途中で技術革新が起これば不可能ではない)

ペギーらは転移先の座標を絞り込むまで放浪者の帰還は待つように勧めています。
しかし、急ぎ地球を旅立ちたいという放浪者を止めることもしていません。
ただし、異世界への転移はまだ一方通行の技術です。
故郷へ帰った放浪者が再び地球に訪れるためには、その故郷で地球への転移技術を開発するしかありません。
放浪者の帰還は、事実上地球との別れを意味しています。
SALFは今後も放浪者の保護を約束しており、望むなら地球に永住することも可能です。
帰還するかどうかは、放浪者当人の意思に任せる恰好となります。

■ナイトメアの旅立ち

異世界へ転移したいと考えている者は放浪者だけではありません。
「人類は進化の答えである」という結果をしっかりと伝えるために、クラインはナイトメアの本拠地である「ホーム」に帰還する必要があるのです。
地球に取り残された状態では、オリジナル・ナイトメアに今一度訴えかける方法がありません。

クラインはSALFの支援を受け、座標を指定しないランダム転移の旅に出ようとしています。
いずれは「ホーム」に辿り着き、そこで新しいナイトメアの在り方を探そうというわけです。
これはクラインだけの問題ではありません。
ナイトメアは地球上から死滅したわけではなく、一部はまだ残留しています。
その中には人類との敵対をやめた個体も存在しています。
彼らは未だライセンサーでしか対処できない戦闘力を有した危険な存在であり、その多くはSALFの保護下に置かれている――つまり軟禁状態にあります。
ナイトメアが地球に残した傷は、戦いをやめたとしても簡単に癒すことはできません。
この地球においてナイトメアが自由に暮らせる日は、少なくとも当面訪れないでしょう。

戦争が終われば捕虜をそうするように、SALFはナイトメアをホームに返還しようとしています。
しかし、ホームの座標がいつになればわかるのか見当もつきません。
またその間ナイトメアを地球に残しておくことは、新たな戦争の火種にもなりかねません。
上記の事情により、同意を取れたナイトメアは、順次異世界へ送り出すことになっています。
クラインと同じく、ホームを目指す旅に出るのです。

残留ナイトメアへの対応には感情的な面も含めて様々な意見があります。
そんな中、ナイトメアをホームに戻すという動きは、比較的多くの人々の支持を受けています。
地球上に残留したナイトメアに対するメリット、交渉のカード足りえることもあり、SALFは各国へナイトメアへの投降呼びかけを依頼しています。
これは一定の成果をあげ、SALFや各国軍に投降したナイトメア――投降するだけの自我のある個体であることから、多くはエルゴマンサーである――は、転移に備えてグロリアスベースへ順次移送されます。
交渉、対話の後、ナイトメアを異世界へ送り出すのもSALFの新たな仕事となります。
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