籠城崩壊まで、あと30秒 マスター名:アウトサイダーK

形態
ショート
難易度
普通
ジャンル
救出
人数
68
相談期間
3
プレイング締切
09/06 24:00
完成予定
09/26 24:00

●ショッピングモールの混乱

 東京都内、とあるショッピングモール。
 買い物のためか、あるいは涼を求めてか、多くの人々により混雑している。
 雑然としていながらも活気のある場所。
 その空気が一瞬で豹変した。

「助けてくれぇっ!」

 綺麗に磨かれたガラスの自動ドアから、恐怖に歪んだ顔の男がモール内に転がりこんでくる。
 不思議に思った買い物客達が外を見ると。
 硬質なカマキリのような見た目をした大きな怪物。
 ナイトメアの姿があった。

 モールに響く悲鳴。
 恐怖は伝染し、混乱は混沌を呼び、モール中がパニックになり――かけた。

「諸君、落ち着いて。ここにいる君たちのことは僕が必ず守る。だから深呼吸をして、僕の指示に従ってくれたまえ」

 館内放送で流れたのは、穏やかだが力強い若い男の声。

「ナイトメアが外に現れた。このモール内の方が安全だ。皆、ゆっくりと歩いて、3階の映画館へ避難を。救援が来るまで一ヶ所に集まるんだ」

 落ち着いた避難指示により、錯乱しかけていた人々は押し合いへし合いしながらも、ある程度の秩序を持って移動し始めた。

 その様子を監視カメラの映像を通して見ているのは、優しげな顔立ちをやや緊張させている、東雲忍(lz0010)というライセンサーの男だ。
 偶然買い物に来ていた彼は、館内放送で冷静に映画館へ避難するように呼びかけながら、取り残された人がいないかを目ざとく探っている。

●避難場所にて

 このショッピングモールの映画館は、12個のスクリーンを有する大きなものだ。その施設内である者は不安ゆえに立ち、ある者は疲労ゆえに座りこんでいる。表情は一様に不安げだ。

 避難が遅れていた幼い男の子を誘導し、忍は慌てることなく最後にやって来た。
 チケットや館内へ持ち込める飲食物を売っているスペースからスクリーンのある上映スペースへ至る、狭まった入場口で立ち止まる。

「さあ、奥の方へ行ってくれたまえ。この騒ぎが収まったら、お父さんやお母さんがどこにいるのか一緒に探すから。しばらくの辛抱だよ」

 男の子に奥へ行くよう促すが、周囲の雰囲気を敏感に感じているのか、黙って忍の脚にしがみついて離れようとしない。

「僕はライセンサーだ。ここで、悪いやつらがやって来ないように君たちを守る。危ないから、君は奥へ。頼めるかい?」

 子供は不安そうに目を揺らしたが、忍の真摯な様子が通じ、こくりと頷いて上映スペースの方へ避難していった。

 それを見送ってから、忍は行列整理のパーティションポールなど、その辺りにある物を使って入場口にバリケードを構築していく。
 万一のために拳銃のEXISだけは常に携帯しているが、今日の忍は戦闘のための備えをしていたわけではない。
 所持していた銃弾は、拳銃内に装填されていたものと弾倉1個分のみ。
 避難誘導をしている間にショッピングモール内へ侵入したナイトメアと戦ったことで、忍が携帯していた拳銃の弾は尽きていた。
 SALFのオペレーターへ、既に救助要請はしている。
 戦闘用の装備をしてきていたのであればナイトメアを遠距離から倒しながら人々の安全を確保できたはずだと、忍の脳裏を悔恨がよぎる。が、どうすることもできない。
 後は籠城して、助けが到着するまで耐えるしかなかった。

●籠城崩壊まで、あと

 SALFのオペレーターから依頼を受け、きみ達を含むライセンサーの部隊は混乱の中にある東京のショッピングモールの入り口に到着した。
 他のライセンサーが外にいるナイトメアと交戦を始める中、きみ達は人命救助のためにモールの中へ踏みこむ。目指すは3階の映画館だ。
 現在、きみ達の携帯端末は、オペレーターの仲介操作により、忍のスマートフォンと繋がっている。

「僕が見た限り、ショッピングモール内に侵入したナイトメアはマンティスとアーマーバードだ。どちらも危険度はせいぜい2といったところだろう。ただし、数がいる。気を付けてくれたまえ」

 挨拶もそこそこに、忍はきみ達が戦うことになるであろうナイトメアの説明をした。

「マンティスもアーマーバードもそこそこ素早いが、防御力はごく低い。どちらも知性はないも同然だ。その分、考えなしに突撃してくるのが恐ろしくもあるんだけどね……」

 止まってしまっているエスカレーターを駆け上り、2階へ。さらに上を目指しているきみ達に忍は話し続ける。
 電話越しに、物が崩れるような音。

「くっ。バリケードはもう何分も保たない。僕の銃はもう弾切れだ。どうか、急いでくれ」

 緊迫した声を聞きながらきみ達は急ぎ、ついに3階にある映画館のチケット売り場までたどり着いた。

 マンティスが3体、アーマーバードが4体、スクリーンのある上映スペースへ至る入場口にできたバリケードの前でたむろしている。
 有り合わせの物で構築されたバリケードはよく持ちこたえたようだが、ほぼ崩されており、もうすぐナイトメアが通れるだけの突破口ができそうだ。

 きみ達を「獲物」だと認識したナイトメアは、バリケードから離れて戦闘態勢に入った。しかし、マンティス1体だけは我関せずと、両腕の鎌を振るってバリケードを壊し続けている。

 立ち塞ぐかのようにナイトメアは布陣しているため、現時点ではバリケードまで一直線に向かうことはできなさそうだ。

 バリケードが崩壊するまで、あと30秒。


●目標
成功条件:ナイトメアがバリケードを壊して人々が避難しているスペースへ侵入することを防ぐ。
失敗条件:ナイトメアがバリケードを突破し、避難している人々に被害が出る。

●味方NPC
東雲忍(しののめ しのぶ)
 SALF所属のライセンサー。
 カフェ『sino』のマスターであり、いつも穏やかな笑顔を浮かべた人当たりの良い人物。
 今日はたまたま買い物に来たところをナイトメアの東京襲来に巻き込まれ、人命救助のために尽力した。
 元々銃弾をあまり携帯していなかったこともあり、所持している唯一のEXISである拳銃は撃ち尽くしてしまっている。

●敵
NA-023(マンティス) 3体
 全高2mほどの、硬質な灰色のカマキリのような見た目をしたナイトメア。
 危険度は2。能力は全体的に高くない。物理攻撃力は並で、防御力はごく低い。移動力は4。
 知能は低く、攻撃されたら応戦するなど、単純な行動パターンしか取れないようだ。

スキル
・切り裂く
 鋭い下顎や両腕の鎌を用いて対象一人を攻撃する。射程1。
・突撃
 前方0~3スクエアに存在する全ての敵を攻撃。攻撃後、0~3スクエア前方へ移動する。

NA-026(アーマーバード) 4体
 全高1.5mほどの、フクロウが頭に兜をつけたような見た目をしたナイトメア。
 危険度は1。能力は全体的に低い。回避だけは並。移動力は5。
 知能も低く、動くものに反応しているようだ。

スキル
・突撃
 マンティスの突撃と同様。
・強打
 渾身の力をこめた体当たり。射程0。威力に注力する分、命中はやや下がる。
・浮遊
 常時飛行状態となる。ただし、現在は屋内にいるため、高度は高くない。
 (高低差による射程の修正は発生しない)

●状況
 東京某所のショッピングモール。
 東京にナイトメアが襲来したことにより、モールにいた人々は映画館の、バリケードの向こうに避難している。
 6体のナイトメアが行く手を塞いでいるため、バリケードの所へ通り抜けることは現状ではできない。

●マップ
 ■■ba■■□☆
△□□cB□□□☆
 □□dC□□□☆
※一文字1スクエアとして扱われます。

△:バリケード、マンティスA
■:飲食物販売所
□:フロア
☆:PC初期位置(3ヶ所から任意に選択可能)
B、C:マンティス
a~d:アーマーバード


「何処にでも現れるんだね、こいつら。けど、もう好き勝手はさせないよ


初期位置は中央の☆

最初の1ターン目は攻撃の順番を敢えて後回しに
基本立ち位置は2マス前進した中央部
三方それぞれのフォローができる辺りで

集中攻撃されたCがまだ残存していれば
味方の当てた攻撃痕を鋭く射貫くようにポイントショット
Cが撃破されていれば
Aへの射線で一番邪魔な敵を狙いスキル発動
026の翼或いは023の脚を狙い味方の狙撃or突破支援
Aへの攻撃が加えられるまでは既述した敵の妨害中心
「派手に暴れてきてよ。後ろは見なくていいからさ

前衛の味方が敵を抑え
鍔迫り合いになっている所を狙い射撃
マンティスの関節や継ぎ目を射て動きを鈍らせる
基本攻撃順を後にして
味方に削られて生命の低い敵を攻撃し撃破を狙う

自身はバリケード死守や敵の足止めに注力する味方が
背後や側面からの不意打ちに会わぬよう
主戦場から少し離れた場所で味方の死角にいる敵を特に注意しておく

前衛に回る味方が少ない時か
連弩がリロード中の間に敵からの攻撃があれば連弩をその場で手放し
無銘刀に持ち替えサブアタッカーに回る
混戦になってきたら全力移動を用いて離脱し敵の後ろに回り込む


前衛にいたPCで特に負傷の深い者へ
服の帯紐を解いて傷口を結んでやり
「…あんた頑張りすぎでしょ。ま、頼りにはさせて貰ったけど
俺に刻まれたプログラムが囁く、人々の笑顔を護れと
やってやるさ、俺は人々を笑顔にするために生まれたヴァルキュリアだからな

「君野エミル、ナウオンライヴ!――さぁ、悪夢を明かすぜ!」

大剣を両手で握りしめ、笑みを崩さぬままにナイトメアの壁へと踏み込む

>戦闘
下部の突破のため、最前線から1スクエア引いた場所からクレイモアで攻撃
攻撃時は回数が切れるまで常時ライトバッシュを使用
「三手で皆を救い出す、急ぐぜッ!」
相手が突撃を仕掛けてきてもお構いなし、むしろ敵陣を一枚越えたと重畳

敵の壁を乗り越えられたらすぐさまバリケード前の敵へ突撃
移動力と射程が足りないなら全力移動も併用
「ファイネスト!さぁ、ここで一気にツメと行くぜ!」

バリケード前の敵を排除したら、他の敵も速やかに片付ける

>戦後
安全が確保出来たらカメラを起動しているスマホ片手にバリケードを引っぺがし、避難者を救助
「通りすがりのVtuber、夢野エミルが助けに来たぜ!」

その後避難者の無事を記録しつつ、人々を励ますための実況を入れる
この様子は、可能であれば後に自分の動画コミュニティにアップロードする
「皆、こうやって“悪夢”に苦しめられている。辛く苦しい日々は、これからも続くだろう」
「だけど、俺達ライセンサーがついている。俺達が立てる限りは、皆の笑顔は俺達が守る。だから、安心してくれ」
初期位置は中央/1ターン目でBの右2sqに移動、Aにポイントショット(以後PS)発動したスナイパーライフルで狙撃/Aが反応して接近して来るなら引付けつつ後退、バリケードに近い敵を優先して狙撃していく。この場合PSはABCに優先的に使用/Aが反応しない場合はAへのPS発動狙撃を続行、この場合PSはAに最優先、倒せた場合はBCに使用。この際突破班がAにとりついた場合は狙撃対象を頭などの上部に限定/スタートから1、2ターンはスナイパーライフルを投棄、持ち変えしつつ射撃することでリロードの手間を省く。3ターンは投棄せず以後リロードして使用/サポートとして囮をしている陽波さん(la2616)の生命力が半分を切った場合ヒールによる支援を行う。
【初期位置】最下の☆印で開始.
【行動】全力移動でマンティスAへ。移動中他敵殺到時は味方に声かけ回避促しつつパワークラッシュ1回使用。
散らし→攻撃を受けても友軍の援護信じ構わずAへ肉薄。

「…っ!一秒でも早くあいつを止めなきゃ。自分の傷なんてどれだけ増えても痛くない!」

Aをバリケードから離すよう心がけ味方の射線に重ならないよう常時注意。バリケードへ気を向かせずA撃破まで手を止めない。
Aと他敵合流時はAと他敵を巻き込みパワークラッシュ2回+通常攻撃

「こ、んな大きな敵。怖ぃけど…。逃げない。逸らさない。どんなに怖くても!」

A撃破後は敵の密集箇所・重傷の敵狙いパワークラッシュ1回
仲間と連携時は常に背面や側面攻撃を意識し挟撃や包囲で速攻各個撃破
スナイパーの友軍の後退支援・負傷人員の盾になるよう位置取り斬り込む。敵の突撃は左右へ避けていなすか盾で防御
マンティス切り裂き→盾防御
可能なら肩から腕を負傷させスキルの威力を削ぐ
アーマーバード→羽根を槍で狙い飛行能力を削ぐ
パワークラッシュ使用→常時最多敵巻き込みを狙う

戦闘後は避難していた人を解放。OPではぐれていた子のママを探す。

「当たり前の日常に憧れてライセンサーになったけど、こんな幸福な場所も狙われる。
闘うのは怖かったけど、この力、やっぱり意味があるのかも…。」
まだ壊れて…ないな!先陣切るぜ!

〇行動
俺は通路真ん中!
Bの正面から行くぜ
初手の目標はマンティスC→Bの順に狙いを定め排除!
一番槍なら迷わず突き進む!
C排除は仲間の突破の為!Bは突破が難しい場合のマンティスAへの射線確保の為!
Cが先に排除出来てたらBへ!Aはこっちに来るようなら!
初手だけはランスを腰溜めに構え
距離を詰める勢いそのままにライトバッシュを使用して突撃し貫く
「さぁ流れを覆すぜ!ぶち抜けぇぇぇぇ!!」

・初動後
カマキリ排除優先
高めの防御を生かして矢面に
槍を振り回して敵の注意を惹くように立ち回る!
マンティスは真正面から仕掛けずやや斜めから
攻撃阻止よりも素早く倒す事を念頭に
胸上よりも軟いと思われる腹部を狙って突撃
「お前の相手は俺!目ぇ逸らすなよ!」
飛鳥が無茶してるからさっさと倒さないとな!

フクロウは突くよりも当て易く叩くように
ランスを横薙ぎ縦薙ぎに振り回して叩き落とすぜ!
仲間を狙ってる奴を優先
仲間に当てない様に注意!

回避は敵の動きをよく見て対処
事前に割れてる攻撃手段なら予備動作を見逃さずに

・突撃
立ち位置に注意!
バリケードを背にして巻き込まないようにする!
槍の表面で滑らせるように受け流して回避!
背を見せるなら迷わずぶち抜くぜ!
作戦
バリケード突破を狙うマンティスAの妨害を最優先
前衛は他敵に攻撃をしかけバリケードから引き離す
後衛は前衛支援およびマンティスAを狙撃し注意を惹きつける

戦闘方法
マンティスAを射程5に捉えたら飛鳥翔装備でポイントショット併用で狙撃
他敵への遠距離攻撃及び前衛援護には連弩を使用しリロード必要になったら予備の連弩に切り替える
接近戦ではレガースを用いた蹴りで反撃
【心情】
(かなり緊張している様子。いざ行動を始めれば、いつもの調子を取り戻すかもしれない)
「初めてのお仕事ですが、この空気…少しも気を抜けませんね。」
「あれが、実際のナイトメアですか…! みんなを信じて、そしてみんなを、助けないと…!」
「あ、いけない。落ち着いて…まわりをよく見なきゃ。広く見て、私の役割を…出来ることを、がんばる。」

【目的】
初依頼を成功させて、この仕事に慣れていきたい。
ひとの命が脅かされている。なるべく多くの人を、助けたい。
部隊の中にあって、自分の役割をしっかりこなしたい。
今回セイントは自分ひとり。サブでヒールを使える人もいるかもしれないが、部隊のみんなを責任を持って守る。

【準備】
敵の回避がそこそこあるため、攻撃はオート拳銃をメインで。ヒール時はロッド。
クーパーは遠距離瀕死の敵などに。ZW-1SPは緊急時に備えて温存。

【行動】
初期位置は下。スキルは惜しまず使う。
1ターン目。左に1マス移動し、オート拳銃で射撃。(優先順はC>d>B>その他)
その後は支援重視で行動。南側の突撃隊の後方を追従。行動を遅らせて隊員の被弾に備える。
バリケードが限界なら多少強引にでもZW-1SPで狙撃。
牙無き人が蹂躙される光景ほど、胸糞悪いものはないわよね(怒り

◯戦闘
初期位置
敵baがいる一番上の☆の位置

誰より速く先に動く!と迷い無く動く
渾身の大声をあげ全力移動
カウンターに飛び乗り
「力なき民を狙うこの不届き者ども!
私が相手になるからかかってきなさい!」
と無駄に盾をぶんぶん振り足をだんだんと鳴らし挑発

大声で敵の目を引き
高所で目立つカウンターの上で敵視線を集め
盾を振る大きな動作等で挑発する
狙いは動く者に反応する鳥のタゲを取り
突破口となる下の道から鳥をどかす事

ついでに一瞬でも敵全体の視線を私に引く事で
仲間がその隙を突いてくれる事も期待

問題は

(私が耐えられるかどうかね)

敵集まれば
盾構え
反撃は考えず防御に専念

敵の攻撃は体当たりが主
予備動作見て
盾で殴り付けるように軌道を逸らすか
傾斜を付けて力を外側に滑らせて逃がすように防御

気絶しそうな時は
牙持たぬ一般人が蹂躙される惨状を想像
正義感で奮い立ち魂燃やし可能な限り立ち続ける

カウンター内へ逃げ
壁際角に陣取る
背後取られるよりマシか
可能なら敵がバリケード側に背を向けるよう位置取る

私狙う敵が他に行きそうなら刀か爪でPクラッシュ
又は銃撃

ルージュさんは友人

●バリケードの破壊を止めろ

 映画館に到達したライセンサー達は武器を構えた。
 7体のナイトメアの内、マンティス2体とアーマーバード4体は彼らの方に体を向け、20~25メートル先で臨戦態勢に入っている。
 マンティスは前方の向かって左側と中央にいる。アーマーバード1体は前方右側の飲食物販売所上空に、残る3体は前方にいるナイトメアの後ろを飛んでいる。
 ただ、もう1体のマンティスは、他のナイトメア達からさらに10メートル強程度奥から動こうとしなかった。人々が避難している上映スペースへの道を塞ぐバリケードを破壊しようと両腕の鎌を振り上げている。

「あれが、実際のナイトメアですか」とムーメ(la2062)が緊張した面持ちで呟く。「みんなを信じて、そしてみんなを助けないと……!」
 ムーメは自動式拳銃からポイントショットを撃ち出した。開戦を告げる銃声。弾は前方左側のマンティスに命中した。味方が敵前線を突破できるよう、援護射撃だ。

「この不届き者ども! 私が相手になるからかかってきなさい!」
 大声を上げながら、陽波 飛鳥(la2616)は迷いなく走る。飲食物販売所のカウンターに飛び乗り、前方右側のアーマーバードに接近。盾を叩きつけようとした。
 身軽な鳥は全力移動の後の狙いを欠いた攻撃を容易に回避したが、陽波の目的は攻撃ではない。それの注意はもくろみ通り引き付けられた。

「間に合ったな。先陣切るぜ!」
 バリケードが破壊されるまで少しは猶予がありそうだ。ルージュ・遠山・リオン(la0037)はランスを腰だめに構え、駆けた勢いそのままに前方左側のマンティスを貫く。
「ぶち抜けぇぇぇ!」
 比較的装甲が薄そうな腹部を狙ったライトバッシュによる的確な突き。マンティスはそれをもろに受け、よろめいた。

 仲間が攻撃されていても我関せず、右側前方および後方にいるアーマーバード2体は自分の攻撃目標を定めた。狙いは近くで目立つ動きをしている陽波だ。上空から強打をかます。
「力なき民を守るため、耐えてみせる!」
 陽波の盾とイマジナリーシールドはアーマーバードの二連撃を凌いだ。

 君野 エミル(la0035)は大剣を両手で握りながらも、仲間を鼓舞するように快活な笑みを浮かべている。
「君野エミル、ナウオンライヴ! ――さぁ、悪夢を明かすぜ!」
 前線を突破するために、ムーメ、ルージュと同じく左側の敵を攻撃する。近付き、狙い誤らず繰り出された大剣はマンティスを斬り捨てた。

 中央後方にいるアーマーバードは、前に突撃してきたルージュに興味を引かれた。上空から体当たりをするが、ルージュの守りを崩せず、シールドをわずかに削った程度に終わった。

「1秒でも早くあいつを止めなきゃ」
 風花雪乃(la2627)はバリケードを壊そうとしているマンティスに強い危機感を覚えた。
 味方によって倒された左側のマンティスの死骸近くを走り、その奥にいるアーマーバードの前を通り抜け、全力の移動でバリケード前のマンティスへ肉薄。ランスを前に突き出す。
 走ることに力を注いだため精彩を欠いた攻撃であったが、何とか命中。マンティスに傷を付けた。その頭部が風花の方に向けられる。

 眼前を走って行った風花の動きに注意を取られた4体目のアーマーバードは風花に突撃。
 背中から攻撃されたが、風花のシールドへの損害はわずか。けれども突撃した勢いでアーマーバードはバリケードにぶつかった。
 バリケードが崩れていく。あと2回攻撃を受ければ、ナイトメアが通れるだけの隙間が空いてしまうだろう。
「ああ!」
 風花は悲鳴を上げ、ぐっと強く槍を握りしめた。

 前線中央で生き残っている方のマンティスは目の前にいるルージュに鎌を振り、切り裂かんとしてきた。ルージュは動きをよく見ることで軌道を読み、避ける。

「なすべきことをなすために、行きます」
 御霊 玲(la0729)は、ルージュとアーマーバードの1体が戦闘している場所の背後まで前進した。バリケード前のマンティスをスナイパーライフルのスコープに捉える。ポイントショットが射出され、標的を鋭くえぐった。
「うん、手遅れになる前にね」
 各務 与一(la0444)は同じ敵を長弓の射程に捉えるために、御霊よりもさらに前、ルージュの横まで前進した。集中し、弓を引き、ポイントショットを放つ。
 2人のスナイパーの正確無比な狙撃により、バリケード前のマンティスは崩れ伏し、動かなくなった。

「どこにでも現れるんだね、こいつら。けど、もう好き勝手はさせないよ」
 氷輪 雪佳(la0065)は戦況をじっと見ていた。御霊と同じ位置まで前進し、連弩の狙いを定める。
 すぐ近くを飛んでいるアーマーバード目がけて弩のレバーを引いた。ポイントショットがその翼を狙うが、鳥は矢を回避する。


●突撃

 バリケード付近では風花とアーマーバード1体が向き合い、残りのライセンサー達とナイトメアは前線に密集している。

 前線で敵の注意を引く陽波に対し、近接しているアーマーバード2体が強襲する。その強打は、陽波にとっては大した攻撃ではない。しかしそれは一撃であればの話だ。
 ダメージが蓄積し、シールドの強度が弱くなっていく。耐えきれるか。陽波は焦りを感じ、汗が頬を伝った。

 ルージュ、各務の近くにいるアーマーバードは、敵が自分の前方に密集している様子に興奮した。
 ルージュと各務、そしてその後方にいる御霊と氷輪に突撃。
 ルージュはからくも、各務は危なげなくそれを避けることができた。
 御霊と氷輪は反応が遅れ、その突撃を受けてしまう。
 氷輪は強くシールドを展開し、生身への傷は何とか防いだ。
 しかし御霊は――。

 シールドがアーマーバードによって削りきられ、突破される。
 コンクリートの柱をも砕く体当たりが御霊の肉体に直撃。
 口から血が吐き出される。白衣に赤が散る。
 激痛が体を襲い、御霊は気絶した。

「貴様ぁ!」
 ルージュは味方が倒されたことに激昂した。
 後ろを振り返り、飛んでいったアーマーバードへ槍を横薙ぐ。
 だが激しい感情ゆえに狙いがぶれたのか、回避されてしまう。

 ムーメは緊張が吹き飛ぶほど動揺した。御霊を今すぐ助けたいと思うが、ヒールでは肉体の怪我は癒やせない。
「私の役割を……できることを、がんばらなきゃ」
 自分に言い聞かせるように呟くと、ナイトメアがいる辺りの横まで前進。ロッドに持ち替え、連続攻撃を受けている陽波をヒール。そのシールドを修復した。

 氷輪は素早く標的を定めた。さらに御霊が傷つけられることのないよう、まだ彼の上空を飛んでいるアーマーバードに連弩の矢を放つ。その翼が射抜かれる。

 各務も狙いをそのアーマーバードとした。長弓から連弩に持ち替え、自分の後方へ飛んだ鳥をポイントショットで狙撃する。
 矢が体に刺さり、それはボトリと地に落ちて絶命した。

 生き残った最後のマンティスは、自分に背を向けたルージュを鎌で切り裂いた。
「ぐっ」
 シールドを貫通するには至らなかったが、精神に負担がかかる。
 だが、自分が倒れたらこの敵は仲間を狙うだろう。無茶をしている友達、陽波の方に行くかもしれない。ルージュはそう考え、踏みとどまった。

 君野は御霊が倒れたことを気にかけつつも、不敵な笑顔を崩さなかった。
 ナイトメアの強さに味方が呑まれては、勝てる戦いも勝てなくなる。だからこそ君野は笑顔を忘れない。
 前線のナイトメアは他の仲間に任せ、走り、風花の助太刀へ。大剣がバリケード近くの敵に届く距離まで移動する。
 ライトバッシュで何とか捕捉し、大きなダメージを与えた。アーマーバードが飛んだままよろける。

 そのアーマーバードは体勢を立て直し、近くにいる風花に強打をくらわせた。前の攻撃と合わせて、彼女のシールドが半分ほど削れてしまう。
 体に傷は付かないが、精神に負荷はかかる。風花は「痛み」に顔をしかめながらも、槍で反撃の突きを繰り出した。が、アーマーバードはそれをひらりとかわす。


●解き放つ力

 陽波は敵味方の位置関係に目をやり、好機と見た。今なら味方を巻きこまずに付近のナイトメア3体を一挙に攻撃できる。
 大太刀に持ち替えると、陽波は武器を力強く横に振り、パワークラッシュを行使。
 天井ギリギリまで飛ぶことで鳥の1体はそれを避けたが、残りのマンティスとアーマーバードには手痛い傷を負わせた。

 氷輪は追い打ちをかけたかったが、連弩の矢が切れたためリロードを行う。

 バリケード前のアーマーバードは、風花と君野へ向かって、バリケードから離れる方向へ突撃を仕掛けた。
 前線で戦うことを役割とする2人にとっては軽微なダメージだ。君野はバリケードからナイトメアを離すことができたと、むしろほくそ笑んでいる。
 ただ、風花のシールドは度重なる攻撃によりもろくなりつつあった。
「逃げない、逸らさない。どんなに怖くても!」
 それでも風花に撤退の二文字はない。一見すると儚げな彼女であるが、今は人々を守るという使命感のもとに戦い抜くことを心に決めていた。

 陽波の近くにいるアーマーバードの1体は、引き続き陽波を攻撃する。盾を手放した分シールドに多くの負荷がかかるが、耐えられる範囲内だ。

 ルージュはマンティスにライトバッシュを仕掛けるが、機敏な動きで避けられた。

 杖を振りかざしたムーメは、損傷を受けている風花のシールドが修復されることを想像した。イメージは現実のものとなり、ヒールとなって風花に継続して戦う力をもたらす。

 ヒールを受けた風花は、ちらりと倒れている御霊を見た。早く御霊に治療をと焦る。彼女は前線のナイトメアと自分に突撃をした鳥のいる方向へ突っこんだ。
「ごめんなさい、避けるか防ぐかしてください!」
 陽波と君野に注意を促してから、風花はランスでパワークラッシュを放った。
 敵味方を区別しない攻撃に、槍の射程内にいた全員が巻きこまれる。
 2体のアーマーバードが致命傷を受け、ばたばたと床に落ちる。残りのアーマーバード1体とマンティス1体も大きな傷を負った。
 陽波と君野も攻撃を避けきることができず手傷を負ったが、事前に警告を受けていたこともあってか、少々シールドが削れるだけで済んだ。
 申し訳なさそうな視線を送ってくる風花に対して、陽波は剣士としての真面目な表情を、君野は笑顔を返事とした。

 残るアーマーバードは自分に多大な痛みをもたらした風花に反撃する。が、補修されたばかりのシールドをわずかに削っただけだ。

 君野のマンティスを狙った攻撃は、どこにまだ力が残っていたのか、予想外の機敏さで回避される。

 各務は前線の攻防から距離を取るために後退しつつ、マンティスに連弩でポイントショットを叩きこむ。相手を虫の息まで追いこんだ。

 そのマンティスは、攻撃してきた各務を追い、彼を切り裂こうと鎌を縦に振るった。各務は冷静にその軌道を見て、横に避ける。

 残る敵は2体だけ。どちらも手傷を負っている。
 陽波は大太刀でアーマーバードに斬りかかるが、腐っても鯛か、飛翔され避けられた。
 アーマーバードは陽波と風花に突撃をし、そのシールドを削る。しかし形勢を逆転させるにはほど遠い。

「お前の相手は俺! 目ぇ逸らすなよ!」
 気合いを籠め、ルージュはマンティスに再度ライトバッシュで攻撃。命中し、その槍は敵を屠った。

「ファイネスト! さぁ、ここで一気にツメと行くぜ!」
 君野もライトバッシュで飛んでいるアーマーバードを叩き落とす。床に転がった鳥はピクリとも動かなくなった。

 もう動く敵はいない。ライセンサー達は戦闘に勝利したのだ。


●戦いが終わって

 脅威が排除されたのを見るや、ムーメは御霊のもとへ急いだ。怪我の手当ができるものはないか自分の荷物を漁る。
 氷輪も倒れている御霊の側に屈みこむ。その目には心配の色が浮かんでいる。
 御霊は意識を取り戻し、瓶底眼鏡の奥にある碧眼を開けた。体を起こそうとして、胸部に激痛を感じる。
「うぅ……避難されている方々の誘導を……」
「……あんた頑張りすぎでしょ」
 御霊は自分の痛みよりも一般市民の身を案じた。氷輪はそれにぶっきらぼうな言葉を返しながら、どこが痛むのかを尋ねる。返答から肋骨骨折の可能性を推測し、自分の帯紐を解いて御霊の胸部を固定するように巻きつけた。
「救助は他のみんなに任せて、体を休めてください」
 ムーメの気遣わしげな声を聞きながら、御霊は限界を迎えて再び意識を手放した。

「もう大丈夫! 私達が来たからな!」
「ナイトメアは排除したから、安心して」
 ルージュと陽波は映画館内部の人々へ声を上げながら、バリケードを取り除いていく。反対側から東雲忍もバリケード撤去に協力し、入場口は通行可能になった。
「ありがとう。君達のおかげでここの人々は救われたよ」
 東雲に穏やかな笑顔で礼を述べられ、二人は誇らしげに胸を張った。

 危機が去ったことを感じ取り顔を出しつつある市民の中から1人の男の子が飛び出してきた。東雲の脚にしがみつく。
「もう大丈夫だよ」と東雲は少年の肩を軽く叩いた。「君のお父さんとお母さんがどこにいるのか一緒に探そうか」
「あ、私も手伝います」
 風花は少年の保護者捜しに協力を申し出ながら、先ほどまでの戦闘について考えていた。
 戦うのは怖かった。しかし、こうやって人々を救えるのであれば、この力にも意味があるのかもしれない、と。

「通りすがりのVtuber、夢野エミルが助けに来たぜ!」
 君野はVtuberとしての名を名乗りながら、スマートフォンで自分達の様子を撮影している。
「俺達が立てる限りは、皆の笑顔は俺達が守る。だから、安心してくれ」
 明るく励ます君野の言葉に、不安げな様子だった少年も笑顔を見せ、こくりと頷いた。

 各務はSALFオペレーターの案内を通信で聞きながら、避難者を外へ誘導している。
 ただし彼の思考を占めているのは別のことだ。初めて戦う機会を得られたが、それはこの人達の命の危機でもあった。自分が求めるモノは誰かにとっての災いなのかもしれないと。
 それでも自分の力を試したいという彼の欲求は消えなかった。自分の手で、弓で、目の前の災いを射抜けると証明するために、各務は戦い続けることを胸に誓う。

 こうして、ショッピングモールを襲った混乱は収まっていった。

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