ライヴ会場を死守せよ! マスター名:梅干しいり豆茶

形態
ショート
難易度
普通
ジャンル
救出/防衛
人数
68
相談期間
3
プレイング締切
09/06 24:00
完成予定
09/26 24:00

●スカウトマンはナイトメアより強し?

 東京湾岸付近を中年の男が胸を張り、意気揚々と歩いていた。

 彼、島屋(しまや)の仕事は、芸能プロダクションのスカウトマンである。
 各地の、アマチュアバンドが集まるライヴハウスを隈無く渡り歩き、逸材を探し出して自社と契約させることが仕事だ。

 例えそこが、戦場の中心であろうと、ナイトメアが暴れていようと、まだ見ぬアマチュアバンドがいるならば、原石を見つけるために死を覚悟し、その場へ赴く熱い想いは揺るがない。自分が納得のいく仕事を熟せなければ、既に死んだも同然……!
 それが島屋の矜持である。

 人命救助を義務とする側にしてみれば傍迷惑な話だが、彼はついに、命を懸けても惜しくない時代の寵児を見つけてしまったのだ。

「彼らの名を全国に、いや全世界に轟かせるのが、私の使命だ!」

 こうして島屋のプロジェクトが始まった――。


●神託のデビューライヴ

 島屋の計画は迅速且つ順風に進んでいく。
 そしてとうとう、デビューライヴまで漕ぎ着けたのだ。
 しかもその会場は、東京湾岸傍にある、やや小さめだが憧れるアーティストも少なくない、老舗にも名の通る場所だった。

「よ、よく取れましたね……。……さ、さすが、島屋さん……!」
 島屋が『宇宙の才器』と公言して憚らない逸材、ヴィジュアルバンド『エル・マルアーク』のヴォーカルであるセラフが、美しいメイクを施した顔を、緊張のためか青白く染めていく。

「ああ! 天は、君達の味方だ! これは宇宙の、神からの天啓なんだよ!」
 胸を張り、満面の笑みを浮かべる島屋。
 他のアーティスト達が、積極的にライヴを行う時期ではないこともあったが、それでも、名の知れた会場を確保出来たことは、本当に、天が彼らの味方をしているとしか思えない。

「し、島屋さんが、決めてくれたデビューだ……! き、きっと、大丈夫、だよ!」
 同じく、濃いめのメイクをしていても分かるほどに青白い顔色、全身を小刻みに震えさせているギタリストのケルーブが、引き攣った笑顔でセラフの肩を叩く。

「勿論だ! チケットの売り上げも上々! 必ず成功する!」


 見た目とは裏腹に『エル・マルアーク』のメンバー達は、何故か自己評価が過剰に低く、全員が悲観的な考えの持ち主であった。
 そんな自身を売り込むなど夢のまた夢。
 更に、極々、小さなライヴハウスでの活動すらも怖気付いてしまい、殆ど申し込むことも出来ず、毎日を技術の研鑽に費やしていた。
 夢のためにも、そんな状況を打破しようと様々な手段を講じたが、深く根付き過ぎた悲観性を積極性に変換することは、早々出来るものではなく、それが彼らの自己否定に拍車を掛けるという、悪循環の中にいた。

 そんなマイナス思考の塊である彼らを、唯一スカウトしてくれた島屋は、彼らにとって、神にも等しい存在だった。
 しかも、そんな神(しまや)自ら、マネージャーとして粉骨砕身、切磋琢磨し、自分達を売り出そうとしてくれているのだ。


 島屋が握り拳を作り、メンバー全員へ希望に満ちた視線を送りながら、迷いのない、勝機を感じさせる力強い言葉を彼らに掛ける。
 ベースのヴァーチュ、ドラムのキュリオ、キーボードのソロネも、顔面蒼白で局地地震を起こしつつも、決意を込めた瞳で島屋を見つめ返した。

 ――これを成功させることが、島屋さんへ少しでも恩返しになる……!

 そんな思いを、胸に抱いて――。


●レ・ミゼラブル~哀れな人々

 ――ライヴ当日。

 天界をコンセプトとしたステージに、天使達が光に包まれ降臨する。
 見目麗しい天使達は、各々が飛び抜けた技巧の音色を奏でながら、その一つひとつが重なることで、更に清廉で屈強さも兼ね備えた確固たる調和へと変貌させ、この世ならざる美しい演奏をホール中に満たしていく。
 その中を踊るように、麗しく、透明でありながら精強な、天使の歌声がホールを飛び回っていった。

「キャーーーッッ!! セラフーッッ!!」
「キュリオーーーッッ!! 愛してるーーーッッ!!」

 見目を活かした宣伝用ポスターのお陰もあり、ホールはほぼ満席。黄色い喚声が客席中から響いてくる。
 それに自信がついたのか、今日の『エル・マルアーク』は過去最高の出来だ。
 そんな彼らを眺めながら、感極まり目に涙を溜めるマネージャー、島屋。

 ライヴは大成功を迎える――筈、だった。


 突如、島屋のスマホが震え、画面に目を向ける。そこには、会場警備会社の名が表示されていた。
 微かに感じる不吉な予感を胸に、島屋はそっとホールの重い扉を押し、ロビーへと移動する。
「た、大変です! 突如、屋上庭園にナイトメアが降り立ち、内部へ押し寄せようとしています!」
「な、何だと?!」
 それは、防犯用カメラ室からの電話だった。
 警備員から内部カメラの映像が送られてくる。屋上庭園では、獣が混ざったような怪物が数匹、固い鉄筋の入ったレンガ風の通路壁を豆腐のようにあっさりと破壊していく。

 ――あ、あれが……ナイトメア?! 何でこの日に……!

「上空に突如ナイトメアが現れ、落下してきました! 屋上から下へ行く階段は一箇所、そこは直ぐにシャッターを下ろしたのですが、相手がナイトメアでは、突破されるのも時間の問題です! 直ぐに避難を……!」
「しかし! 客は千人以上来ている! パニックを起こして逃げ切れますか? それに外に出た所で安全が確保出来るとは……」
 島屋の危惧は尤もである。相手はナイトメア、屋上から地上まで約4階分の高さを飛び降りることは容易だろう。
 それならば、屋上から動けないようにするべきではないだろうか?

「了解しました! 出入口収納、及び、特殊包囲壁、発動します!」
 警備員の声と同時に機械音が唸りだす。

 名の知れたこの会場は、権力者達が集まるようなイベントも催されるため、有事の際には会場を守るよう特殊な警備システムが完備されていた。

 その内の1つが、屋上への階段出入口のシャッター。
 2つ目が、その階段部が屋上から下の階に降下し床と一体化させることで閉鎖する機能。
 そして、上部は15mほどの高さと横四方全体を特殊合金で覆い、屋上のみ完全な閉鎖空間にする特殊包囲壁という機能であった。

 ――まるで、特撮ヒーローの秘密基地のようだ……!

 その厳重さに、島屋は呆気に取られつつも、直ぐに我を取り戻す。
 だが、相手はナイトメアだ。どれだけ厳重な設備であっても所詮は一般人が施したシステム、破壊されるのは時間の問題だろう。
 現に、屋上の美しい設備は瓦礫の山と化し、移動経路のない状態を、ナイトメア達が訝しんでいるかのように窺える。

 警備室へ駆け込み狼狽えている島屋の耳に、ライセンサー達の到着を告げる通信とヘリの音が聞こえてくる。
 希望を胸に部屋を出ると、高揚した警備員達が窓を開け、ロープに掴まっていたライセンサー達が軽快な身の熟しで飛び込んできた。


●目標
 屋上庭園からナイトメアを出さない。
 ナイトメアの殲滅。
 ライヴの遂行。

●会場説明
 屋上庭園は地面から15mほどの高さ(3スクエア)で、広さは625平方メートルほど(5×5スクエア)。
 庭園の15mほど上部と四方を特殊合金の壁が覆っている。
 ナイトメア達は、壁上部に届かない。が、瓦礫などに登り運良く届く可能性も皆無ではない。
 本来の出入口は北側中央にあったが、現在は収納中。
 庭園中央に西欧風東屋がありその床中央に緊急用出入口が開閉可能。現在は半壊された東屋の破壊された箇所が、床周囲に散乱している。
 庭園の直ぐ下の階は3階で、音響等ライヴ用の調整室等がある。
 その下の階は2階だが1階から吹き抜けのロビーや、現在ライヴが行われているホールと警備室等がある。

●状況
 時刻は夕方6時頃。敵の隙を見、東屋の床を開け乗り込む所から開始。

 庭園の上空、横四方を覆っている壁は特殊合金で、同じ箇所を2回攻撃すれば破壊可能だが、このナイトメアは知力が低く、同箇所への攻撃が偶然行われるのは、開始から7T経過以降。
 その場合、その区域を移動している一般人に被害が及ぶ。

 下の階へ出る床が破壊されるのは開始から5T経過以降。その場合、スタッフに被害が及び、ライヴの音響、照明等に異常が及び、多数の客がパニックを起こす可能性大。

 但し、壁や床の破壊は、ナイトメアが3体以上生き残っていることで発生。3体から1体減る毎に1T引き延ばし可能。

 ホール内は大音量と分厚い防音扉のせいか、誰も気付かずライヴが続いている。
 観客が大人数で、パニックになると逆にナイトメアに狙われるため、観客に知られず任務完了すること。

●登場
攻撃型ナイトメア×6体
 狼や獅子など、様々な獣が混ざったような姿で二足歩行。白兵命中と物理攻撃が高め。
 人間の多い場所へ移動しようと周囲を闇雲に破壊している。

・爪圧
 射程5以内への単体へ、爪の風圧による物理攻撃。

・体当たり
 範囲1の単体へ150%の物理攻撃とその両隣へ50%の物理攻撃。但し自身も10%の生命低下。

・獣化
 自身を攻撃した相手に攻撃を返すため、四足で移動。移動力が倍になる。


アドリブ絡み歓迎
『エル・マルターク』は音楽性こそ違うがミュージシャンとして尊敬しているし
自分の音楽の参考になるのでよく聴いている
「アイドルとして、音楽家として、音楽を愛する者を傷つける事は許さない。『エル・マルターク』も、ファンやスタッフのみんなも、必ず無事で帰す!
「紗緒!アイドル部の力、見せてやろうぜ!
「音楽の分からないケダモノどもめ…焼かれたいならそこにいろ、斬られたいならかかって来い!
誰かが『安全のためにライヴを中止した方が良い』旨の発言をしたら
「演奏を中断するくらいなら、俺なら死を選ぶぜ。自分たちのために、ファンのためにここまで頑張ったんだろうに…ナイトメアごときのために中断なんてさせるもんか

最初のうちは生命の書とフォースアローで攻撃
数を減らすのを優先すべく、なるべく手負いの者から狙う
もし壁を超えそうな敵がいたら撃ち落とす
位置取りは体当たりの事を考えて、仲間や壁と近づき過ぎないよう注意する
敵の攻撃は頑張って回避

フォースアローが回数切れたら妖刀に持ち替え
敵の多いところに突撃し
仲間を巻き込まないように気をつけつつパワークラッシュ
パワークラッシュも回数切れたら妖刀で通常攻撃

被弾時
「俺の中身が…!おのれ、よくも…
「呪われろ!地獄に落ちやがれッ!

無事に終了
「ライヴ、続けられたな。よかった…
「折角だし見てから帰ろうかな。…ダメ?
◆心情
ライセンサーとして初めての戦闘・・・いえ、そんなことよりもこの未開惑せ…世界事情を知る良い機会と考えましょう!

◆配置
後衛

◆戦闘
前衛の近接戦が出来る人達のためにナイトメアをなるべく一か所に集められるように牽制しつつ戦います。
壁に登ろうとするナイトメアが居た場合はピンポイントショットで優先して撃ち落とし、床に居るナイトメアは一体一体確実に数を減らすようにしましょう。
「えぇと、このスコープを覗いて・・・真ん中に居る敵を撃つ・・・っと。オートロックオン機能とかないんですか?」

床を破壊されてしまった場合は、その位置にいるナイトメアを優先撃破して例え前衛より前であったとしてもその位置に移動して場所を確保します。
心情
「さて、どこから攻めてくるのか……、構図をちゃんと把握しないとな……」
「俺はこっちに向かってくるあいつをやる。近接攻撃は得意だからな」」
「よかった……、ライブ、成功だな……」

目標
ナイトメアの撃破を目標とする

行動
皆と作戦の確認した後、ナイトメアに気づかれないように身を隠せる場所を探す
ナイトメアの足音などに気が付いたら静かに、背後に回るように移動する
ライブに近づいていくようなら、背後から狙っていき阻止する
ナイトメア一体がこちらに気づいたら、即座に距離を取る
獅子王SPをゆっくりと抜きリラックスしたように刃を下ろしたまま静かに敵を見つめる
敵がこちらに向かって爪圧や攻撃を繰り出して来たら、それに対してかわしながら移動しライトバッシュで攻撃
移動しつつも攻撃をするため、受け身になって攻撃を受ける
もし、腕や胸元に怪我してしまっても、そのまま続行できるなら距離を取り次の攻撃に備える
一体が倒されたことを確認したのち、残っているナイトメアのほうに向かい、援護する
敵が全滅したら、すぐさまライブ会場へ向かう
ライブ会場のバンドや一般人たちが無事かを確認する
遠くから確認しつつ、無事だとわかればその場で膝をつき集中力が切れ、力が抜ける
だが、仲間のことも気になるのか壁を伝いながら仲間の元へ
もし、怪我をしてるならヒールで助けてもらう
【心情】
とほほ、働かないと引籠ってられないとは世の中は世知辛いのじゃ。とはいえ、なんじゃこのバンドーとかいう者共の名前は?我がなんだか下っ端っぽいではないかー。(ぇ

【目的】
うむ、優先順はいっぱん人への被害、けものー共の殲滅、我の方がかわいーって事を、えっらそうな階級の天使な名前のバンドーとかいう者共に知らしめる事なのじゃ。

【行動】
うむ、我の役目は前衛役じゃな。皆より前に出てけものー共の攻撃を一手に受ける所謂たんく?とかいう役割じゃ。ほむ…すっごく痛そうなのじゃが、フルボッコにされそうなのじゃが?じゃが?

うぐぐ、まぁ、まぁ、汝らがどーしてもと言うからかわいー我も痛いの我慢するのじゃが、基本防御を主体にけものー共の気を惹く様に行動するのじゃ。なので、行動優先順は我の生命が半分以下になったらスキルの『ヒール』で自分を回復、次に同じ前衛に出ておる者で生命が半分以下の者に『ヒール』で回復、近場のけものーに大剣でのスキル『ライトバッシュ』で攻撃と言った所かのう。

じゃが、けものーに囲まれてフルボッコにされそうになったら、大剣ぽいして盾で身を守るのじゃ~。パリィ、パリィ、ひらめくのじゃ我~。(ぁ

まぁ、ほんと、我…周りの状況とか分からなくなると思うので、何かあったら、指示よろしくなのじゃぞ。
※アドリブ、絡み大歓迎。 【心情】
「折角の楽しい場、壊すのはどうかと思うんだよな……」
「それに、沢山の人の生死が係ってるからこれは……俺も真面目にならざる負えないな。」

【目的】
敵の早期殲滅。
一般人に被害を絶対に出さない。

【行動】
作戦完了まで真面目モードで何があっても冷静に、最善策を模索。
射撃系攻撃のみの戦闘を行う。
壁を登ろうとする敵を優先的に撃ち落とし、居なければ殲滅行動を。
殲滅時は確固撃破をメインに敵をよく観察し、手負いの敵を優先的に狙う。
スキルは優先的に使い、フォースアローが回数切れを起こした場合銃に持ち替えポイントショットを。
味方が識別無し範囲を使用時、声をかけて貰うように頼み、回避しやすいようにする。
立ち位置は基本味方と纏まる形で範囲による壁の巻き込みを警戒して壁側には寄らない。
作戦終了後は真面目モード解除。
【心情】
 「当事者に知られずにナイトメアを殲滅する、か。初任務としては腕が鳴るな。」

【目的】
 依頼を解決する為、被害を少なくナイトメアを殲滅することを目的として参加する。
 狼崎自身はそれに合わせて所属する組織の宣伝、及び顔を広げることも目的。

【準備】
基本的には突入後は後衛組より前に出る。可能な限り囮として行動できるような位置で。

【行動】
 戦闘ではナイトメアを攻撃する。可能な限りダメージが入ったものから順に狙う。
ビーストレガースSPで主に攻撃。複数巻き込めるならパワークラッシュを用いる。壁を巻き込まぬよう、壁がナイトメアの体当たりに巻き込まれぬように注意して戦う。 基本的にはナイトメアの攻撃は回避。囮の回避役を心掛ける。
また、ライセンサーを無視して瓦礫に登り脱出しようとするものがいるなら瓦礫を崩し妨害することを距離的に可能なら狙う。難しければ射撃できるメンバーに任せる。
【心情】
「ライヴを妨害するナイトメア…イルカ的アイドルとしては見過ごせませんです!」

【目的】
敵の撃破と客の救出
ライヴの成功

【準備】
スマホ(連絡用)

【行動】
戦闘では最初は皆で纏まって行動
生命の書SPを持って敵をフォースアローでギリギリ射程から知覚攻撃して一手に集める
集めた所を狙える人に狙って貰う
「今なのです!」

近接攻撃をする仲間が範囲攻撃をするなら自分や壁が巻き込まれないように臨機応変に動く
壁に登る敵は優先排除
仲間とは連携重視

フォースアローが残量0になったらエネルギーガンに持ち替えて射程ギリギリから知覚攻撃して仲間の支援に徹する

自分や仲間が怪我をした場合はプリンセスロッドSPに持ち替えてヒールで回復を試みる

もし、一般人が敵に気づいてパニックになりかけたら一般人のケアや誘導を優先しながら敵を排除していく
落ち着かない人が居る場合は歌でその場を和ませたりする
V系バンドのライヴって事で自身の姿もグルーピーっぽく見えるけどそんな事はない
と言う話はどうでも良いとして

「やれやれですねえ、美しいV系バンドのライヴの邪魔をするのは無粋ってやつじゃないですかねえ?」

被害が及ばないように行動を開始
基本はマテリアルブックによるフォースアローを味方が追い詰めたナイトメアに向けて放つ
その際壁は巻き込まないように放つ

敵が接近してきた場合はグランツソードに持ち替え思念式展開装甲を使用してから迎撃
反撃する際にはパワークラッシュを用いて反撃する
「ふふ、残念でしたねえ。こう見えても私もかつては騎士だったんですよお?」
その後近接戦闘が続く場合パワークラッシュの使用を続ける
その際は味方との位置関係を意識する

知覚攻撃が出来ない場合はスナイパーライフルに寄る射撃攻撃を用いる
ただし本職ではないのでおまけ程度
立ち撃ち射撃とか良いよね
良くない?

戦闘後被害が少なくライヴが継続中なら鑑賞しに行く
中断していれば『エル・マルアーク』に合うにとどめる
「なるほど、これはこれはあ…。良いですねえ、とても…ふふ、これは夢中になってしまうのも分かりますねえ」
V系ならでは神秘的な雰囲気に引き込まれ気味なご様子

●守られるは天使達
 監視カメラで、ナイトメア達全てが東屋から視線を外す隙を、警備員達が見逃さないよう画面を凝視する。

「さて、どこから攻めてくるのか……、構図をちゃんと把握しないとな……」
 その間に、長埜 雲雀(la2389)は映像と設計図を見比べ、庭園の構造、ナイトメア達の位置を把握している。

「! 今です! 直ぐに閉めますので急いで……!」
 警備員が言い終わる前に、ライセンサー達が半開きの東屋の床から素早く上がっていく。

 窓から乗り込んできた姿といい、人並み外れた無駄のないその動きは華麗で、正に天使達が仲間に救いの手を差し伸べに現れたかのようだった。

「アイドルとして、音楽家として、音楽を愛する者を傷つける事は許さない。『エル・マルアーク』も、ファンやスタッフのみんなも、必ず無事で帰す!」
 アイドル部に所属している九重 陸(la1069)は青い瞳を鋭く光らせ、東屋跡から移動する。
 まだマイナーな『エル・マルアーク』を尊敬し、参考にしているというコアっぷりは島屋の胸を大いにときめかせた。

「当事者に知られずにナイトメアを殲滅する、か。初任務としては腕が鳴るな」
 ビーストレガースSPを足に着け、ナイトメアへ不敵な笑みを見せる狼崎 ショウ(la0871)。
 様々な獣の特徴を併せ持ち、程よく筋肉の付いた細身の長身は小麦色に染まっており、魅惑的な魅力を醸している。

「やれやれですねえ、美しいV系バンドのライヴの邪魔をするのは無粋ってやつじゃないですかねえ?」
「折角の楽しい場、壊すのはどうかと思うんだよな……」
 妖艶でゴスロリドール風のブラン・ジオレッド(la2389)と純日本人風の長い黒髪と黒目だが戦乙女的な薄衣 千利(la0907)の、対称的な美しさを持つ美女二人もまた、『エル・マルアーク』のデビューライヴを成功させるべく、臨戦態勢を取っていた。

 ――武器を構え、屋上庭園へと現れるライセンサー達。

 突如現れた食料の群れに、歪な獣姿達の視線が集中する。一箇所に纏まっていることも、注目を集めた要因かもしれない。
 二足歩行の獣達は、食料の現れた箇所を訝しむかのように眺め、先ずは食料補給に餌へと歩み寄った。


●激しい攻防

 思わず撮影したくなる衝動に、スマホをカメラ機能で構えてしまった五月乃木・N・小豆(la0280)が、慌ててスナイパーライフルに持ち替え、壁に近いナイトメアを狙い撃つ。
「えぇと、このスコープを覗いて……真ん中に居る敵を撃つ……っと。オートロックオン機能とかないんですか?」
 狙撃しながらもカメラ撮影も忘れないところは、戦う戦場カメラマンの悲しい習性だろう。だが最新カメラと違い、スマホでの撮影に悪戦苦闘している。
「何ですかこのいちいち操作しなきゃいけない機械!? 使用者の思考くらい読んでくださいよ! このポンコツ!?」
 壁を破壊されれば、外にいる一般人へと被害が及ぶ。それは避けねばならない事態の一つだ。
 壁に近付く害獣を即座に撃つのは、さすがライセンサー、といったところだ。

「ライヴを妨害するナイトメア……イルカ的アイドルとしては見過ごせませんです!」
 イルカグッズを身に纏った佐々音 紗緒(la0165)も生命の書SPを持ち、射程圏内に入ったナイトメアへ矢の形状となって敵を射るフォースアローを、桃色の髪を揺らしながら放つ。
「きゃっ!」
 進行を妨げられたナイトメアが、お返しとばかりに爪圧を放つ。その射線先にいた佐々音に攻撃が入らんとする、その時だった。

 愛らしい顔を歪ませ、憮然とした表情で怠そうにしていたナレル・アンゲロイ(la0787)が間に割り込み、大剣を構える。
 ナレルは集まったライセンサー達の中で唯一『エル・マルアーク』に憤っていた。
 それもその筈。このメンバーの名前は、第1の位と第2の位の天使から取られており、第3の位の名を持つ『守護天使(アンゲロイ)』の上位であることが気に入らないのだ。

 ――なんじゃこのバンドーとかいう者共の名前は? 我がなんだか下っ端っぽいではないかー。
 奴らを見返すため戦うナレルは、構えた大剣で爪圧を受け流そうとする。

 が――……。
「うぎゃーっ!」
 瓦礫に足を取られ、ナレルは爪圧をまともに受けた大剣ごと吹き飛ばされてしまう。
 ナレルが壁に激突する寸前、狼崎が足に力を入れ全身でナレルを受け止める。
「……俺達は前衛だ、しっかり熟せ」
「わ、分かっておるわ!」
 気を取り直し、二人はナイトメアの眼前に立ちはだかった。

「沢山の人の生死が係ってるからこれは……俺も真面目にならざるを得ないな」
「同感ですねえ。撮影の暇はありませんよお?」
「わ、分かってます! 分かっていますよ!」
 薄衣とブランの視線の先には、何故かスマホを手にした五月乃木がいる。
 二人の蔑む目付に五月乃木は慌ててスマホを仕舞い、銃を構え直す。

 ブランがナイトメアを纏めようと、牽制射撃を行う。
 薄衣も傷を負ったナイトメアを優先に始末を狙いつつ、動きを封じようと目論む。

「紗緒! アイドル部の力、見せてやろうぜ!」
「なのです!」
 少し距離を取った場所から九重のフォースアローが、前衛二人の背後から佐々音のフォースアローが放たれ、クロスした矢印が射線に光を残しながら直進。眩い光がナイトメアの胴を貫く。
 直撃したナイトメアは獣形状を崩れされ、体の一部を塵へと化し四散していく。
 胴に穴の空いたナイトメアが九重へと四足で突き進む獣化で近付き、体当たりを食らわせる。
 辛うじて回避するが、即座に放たれた爪圧が脇腹を掠り、彼のイマジナリーシールドを減少させた。
「俺のイマジナリーシールドが……! おのれ、よくも……」
 攻撃を受けた九重がナイトメアを睨み付ける。
「させませんです!」
 前衛によって攻撃を回避した佐々音が再び光の矢を放ち、敵の体を更に削る。そこへ狼崎が駆け寄り、踵落としでナイトメアを突き刺し、光の粒へと回帰させた。

「先ず、1つ」

 しかしそれが口火となったのか、ナイトメア達は怒り狂ったかのように激しく暴れ出し、一番近いナレルと狼崎へ爪圧や体当たりでの総攻撃を始めた。

 連続で襲い来るナイトメア達の猛攻。
「あ、危ないのじゃ! 指示を出すのじゃ!」
「攻撃は回避! 弱った敵から順に攻撃だ!」
 ナイトメア達の猛攻を紙一重で躱し、纏まった敵に踵落とし――周囲に衝撃波を撒き散らすパワークラッシュを食らわせていく狼崎。
 援護射撃で回避場所を確保してもらうが、上手く躱せず剣を盾に替え防御に徹するが、ほぼフルボッコ状態のナレル。
 何とか己の防御力と生命力で耐えるが、こう連撃されては堪らない。少しずつ削られていくイマジナリーシールドに顔が歪む。

 と、ナイトメア達の動きが一瞬、止まる。
「……こっちにもいるぞ。もう少し周りを見たほうがいいな……」
 そっと瓦礫に隠れ、背後に周り込んだ長埜が、隙だらけの背中に獅子王SPを振り下ろしていた。
 体を削られたナイトメアが、その原因へと視線を移動させる。
 刃を下ろしたまま、静かに敵を見つめる長埜。無表情なその目には、凄まじい威圧感を帯びていた。
 さり気なく距離を取り、敵の動きにも備えるが、攻撃に心揺らぐこと無く反撃し、確実に体の一部を削っていく。

「そんなに簡単に策に嵌られては、少々物足りなくなってしまいますねえ」
 妖艶な笑みのブランが、やや固まりつつあるナイトメア達に対し、グランツソードでパワークラッシュを食らわす。
 ナイトメアの歪んだ顔が更に歪み、ブランによってその身を削がれていく。
「その、歪んだ顔……いいですねえ。先程より遥かにお似合いですよお」
 ブランは赤い目を光らせ、妖しい笑みを浮かべながら毛先がブラッドオレンジ色に光る銀髪を揺らし、剣を振り回す。
「ふふ、残念でしたねえ。こう見えても私もかつては騎士だったんですよお?」
 狂気を含んだ笑みでパワークラッシュを放つ様は、ゴスロリ服も相まり、騎士というよりも魔女的なものを思わせるが、技に仲間を巻き込まないよう注意を払っているところは、やはり騎士なのだろうか。
 快楽を帯びたような攻撃を続けるブランの傍らには、仲間が援護射撃を続けていた。

「……なかなか、しぶといじゃないか」
 薄衣は一番負傷しているナイトメア、及び壁や仲間、を狙う敵を重点的に狙撃する。
 獣化で近付く敵にも臆せず、削られる頬のイマジナリーシールドを無視し、ナイトメアを撃ち抜いていく。
 だが、当たりやすい箇所ではナイトメアの動きを阻害するまではいかず、仲間が攻撃されてしまう。
「やはり、手足をもいで、動けないようにしないと、な」
 薄衣は上唇を軽く舐め、口角を上げる。
 狙われたナイトメアはフォースアローとポイントショットを連打し、ナイトメアの手足を硝煙と共に無に帰した。

「手足のない獣を狩っても、つまらないな」
 狼崎が素早くナイトメアの胴を蹴り刺す。霧となり消えていくのを横目に、狼崎は次なる獲物を睨んでいた。
 だが、獣化したナイトメアが横から狼崎へと迫り、襲い掛かる。
 咄嗟に蹴りを入れ攻撃を受け止めるが、その隙に眼前の敵が爪圧を放つ。
 しかしそれは、駆け寄っていた長埜のライトバッシュによって相殺された。

「俺はこっちに向かってくるあいつをやる。近接攻撃は得意だからな」
「それじゃ、俺は牽制と攻撃をするか」
 お互いに視線を躱し、ナイトメアへと飛び掛かる長埜と狼崎。

「お手伝いしますです!」
 佐々音も武器を持ち替え、二人へヒールを注いだ。
「これは助かるな」
 削られた生命が回復し、体に力が湧いてくる。

 狼崎は片方のナイトメアの目へ拳の牽制を入れ、敵の動きを遅らせ、攻め込む四足のナイトメアへ、踵落としで蹴り潰すような攻撃を入れる。その蹴りを中心に、周囲へと閃光のような衝撃が走った。
 そこへナレルが、大剣を叩き込もうとするが既の所で躱され、ナイトメアが即座に回避移動する。
 だが全てはライセンサー達の計算だった。
「ふむ。やはり、そちらへ回避しおるのじゃな」
 ナレルは空振った大剣を手にほくそ笑む。
 その敵は、皆の意図通り、長埜の眼前へと移動させられていた。

 異形の獣状ナイトメアと対峙し、静かに目を見る長埜。

 先に動いたのはナイトメアだった。
 長埜へ爪圧を放ち、真っ直ぐに突き進んでくる。
「待ってたぜ!」
 ナイトメアと長埜の間を、薄衣の銃弾が通り抜け、ナイトメアの動きを微かに鈍らせる。
 その隙に長埜は間合いを見極め攻撃を回避、背後へと周り込む。
 刃がライトバッシュと共に、ナイトメアへと振り下ろされる。
 ナイトメアの半身が細かい粒となり、その身から引き剥がされていく。
 その瞬間。
 佐々音、ブランと九重のフォースアロー、五月乃木、薄衣のポイントショットが炸裂。

 激しい光が周囲に広がり、その光と共にナイトメアの姿も掻き消されていった。

「……あと、3匹か」
 長埜は残りの敵と時間、そして周囲に視線を動かす。
 瓦礫の足場で回避が困難な状況、防御に徹するしかない場面もあり、皆、結構な生命が削られている。しかも激しい攻防のせいで、あと数秒もすれば床が破壊されてしまう危険な状態だ。
 だがその甲斐もあり、無傷のナイトメアは、いない。
 皆の視線は、一番弱ったナイトメアへと注がれた。

「行きます!」
 佐々音のエネルギーガンとブランのスナイパーライフルZW1が爆音を鳴らす。
 見定めたその射撃は、負傷の激しいナイトメアの左を狙い、それを辛うじて躱したナイトメアの左腕を掠る。
 が、右に避けることは計算であり、一瞬の差で右側へ五月乃木のポイントショットが放たれ、ナイトメアの右足を消し飛ばす。
 そこへ、薄衣のポイントショットが左足を撃ち抜き、移動困難な状況を作り出した。
 反撃に備え、狼崎が拳で顔面殴打した後ビーストレガースSPを付けた足を掲げ、九重が妖刀を手に飛び込み、長埜が獅子王SPを振り翳し、ナレルが大剣を振り回し、パワークラッシュを混じえた一斉攻撃が一点に集中する。
 各々の満身を込めた「EXIS」は唸りを上げ、激しい閃光がナイトメアを包む。

 声にならない声が聞こえた気がする。

 一斉攻撃を受けたナイトメアは、歪な顔で空へとその身を散らし――そして、消えた。

「……あと2匹!」
 ギリギリの所で床を破壊されずに済んだが、残り2匹も早々に始末しなければ同じ事。
 肩で息をする仲間に、佐々音とナレルが最後のヒールを施した。


●我が神は永遠に

 満身創痍になりながらも、ナイトメア全てを葬り去る。
 屋上庭園の損壊は激しかったが、壁も床も全壊されず、事件は解決した。

「本当に有難うございました!」
 アンコールの幕間、事件の顛末を聞き駆けつけたメンバー達が、島屋と共に滝のように涙を流し、何度も何度も頭を下げる。

「ライヴ、続けられたな。よかった……」
 九重が青い瞳を輝かせ、心からの本音だと分かる笑顔で見つめる。
「そうです! いつか、私もイルカ的アイドルとしてこんなステージに立つのですよ!」
 佐々音もイルカのぬいぐるみを抱き締め、嬉しそうに微笑む。
「お陰でこんなに皆さんの写真が撮れました!」
「いつの間に?!」
 スマホの画像を眺める五月乃木へツッコミが入る。
「どうも、機械音がすると……」
 狼崎は張り詰めていた糸を切られ、激しい疲労感を思い出し長椅子へと倒れ込む。
 他のライセンサー達も、無事成し遂げた仕事に安堵の笑みを浮かべていた。

 そこへ、薄衣がライヴを見たい、と島屋達へ願い出る。
「守ったもの、見るのも悪くないだろ?」
「折角だし見てから帰ろうかな。……ダメ?」
 九重も大いに興味を示し、島屋達を凝視する。
「願ったり叶ったりです!」


 こうして、ライセンサー達が見つめる中、アンコールライヴが始まった。
 繊細でいて、力強さも感じさせるが、何より感謝の気持ちがひしひしと伝わってくる歌だ。

「なるほど、これはこれはあ……。良いですねえ、とても……ふふ、これは夢中になってしまうのも分かりますねえ」
 V系ならでは神秘的な雰囲気に引き込まれ気味なご様子のブラン。
「やっぱり凄いな」
「とっても素敵な歌です!」
 佐々音がイルカのぬいぐるみを抱え踊りながら歌い出す。
 九重も、無意識に揺れる体で音色に聞き入っている。
「うぬう……! じゃが! 名前が気に食わぬのじゃ!」
 無意識に体を動かすナレルは未だ名前について憤っている。名付け親である島屋は狼狽えながらナレルの機嫌を取ろうと必死だ。

 実はこの曲、賛美歌の『いざもろとも主を』をアレンジしたものだ。
 ライセンサー達に捧げる曲として、急遽取り入れられたのだ。

 『エル・マルアーク』のメンバーと島屋が、密かに神と崇め始めていたことを、ライセンサー達は知る由もなかった。

成功度
成功

MVP一覧

MVPはいませんでした。

重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧

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