強襲・ナイトメアを駆逐せよ マスター名:鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
ジャンル
防衛
人数
6 8
相談期間
3
プレイング締切
09/06 24:00
完成予定
09/26 24:00

●反撃ののろし

 突如襲われた、日本首都東京。
 ナイトメアという存在に対して、日夜抵抗を続けていたライセンサーの大きな拠点の一つであるが。
 その東京めがけてナイトメアが一気に押し寄せるという事態が発生している。
 原因不明、正体不明、目的不明の大襲撃は東京各地で発生。
 ナイトメアが原因と思われる事件が多発、人々は大混乱に陥れられた。
 そんな中。東京の町からやや離れた高速道路上をナイトメアの軍勢が東京に向かって進軍してきているという情報が入る、その情報をもたらしたのは一人の警官だった。

「おいおい、まじかよ」

 このあたりをパトロールしていた警官『夜鶴 勇気』はその光景を目の当たりにして素の口調に戻ってしまう。
 パトカー備え付けの無線を手から落とし、その光景を凝視した。恐怖というよりも信じがたいと思う一心。なぜならこんな非日常な光景、一般人に分類される彼には到底縁のないものだったのだから。

 それはまさに百鬼夜行。

 道路上を埋め尽くす悪鬼羅刹の類が波のようにこちらに押し寄せる。
 あわれ、道中乗り捨てられた車は、破壊されながらも彼らに担がれ神輿のようにされ。道路上のガードレールやポールも引きはがされ彼らのおもちゃとなっている。
 まるで赤子のような啼声をあげながらこちらに突っ込んでくる軍勢、それに巻き込まれればどうなるかは……夜鶴にとっては明らか、鉄くずとされた標識、車、バイク等が物語っていた。
 あわてて警察官Aは無線機を取り戻し、本部に事情を伝える。
 敵が攻めてきた。大軍で攻めてきた。
 すぐに道路を閉鎖しなければ、国民の、市民の、生活が危ない。
 その要請に対して即座に対応できたのは自衛隊や警官と言った国家機関であった。
 ライセンサーの出動はまだ待たなければならない。
「なんでライセンサーは来てくれないんだ」
 それもそのはず、同時多発的に東京を襲ったナイトメア襲撃事件の対処に本部も手一杯だった。
「くそ! ライセンサーはまだなんですか」
 夜鶴はその背中でバリケードを抑え込んで叫ぶ、かれこれ一時間はこうして道路を守り続けていた。しかし限界は近い、そう夜鶴の体が教えてくれる。
 服は汗にまみれ、筋肉は引きつっている。
 倒れる仲間も出始めた。
 このままでは。

「くそ、ここまで、ここまでか」

 そう思った矢先、バリケードに使っていた木の板がぶち破られ、長い腕が伸びた。それは板に張り付くように体重をかけていた夜鶴の首に絡みつくと爪でひっかき血の筋が浮かぶ。
 終わった、そう思った矢先。
 ヘリの音が空に響いた。空気を叩くような独特のプロペラ音、見れば黒い小さなシルエットが空に浮かんでいる。
 助かった。
 そう安どのため息を漏らしつつ夜鶴は血まみれの喉を震わせて叫んだ。
「あと少しだ! みんな、あと少しで助けが来るぞ!」
 歓声が上がる。
 ライセンサー……希望の到着。



 そしてここから先を描くのが、君たちの役目である。



●ナイトメアについて

「緊急招集に応じていただきありがとうございます。
 今回皆さんのオペレートをさせていただきます『那由多』と申します。
 さっそく今回のミッションに関して詳細を報告させていただきます。
 手元のディスプレイをご覧ください。準備はよろしいでしょうか」
 インカム越しに聞こえる女性の声は朗々としてる。この混乱状態の最中に合って、不自然なほどに落ち着いていた。
 彼女はオペレーターの那由多。オペレーターの中でもその歴は長い。
「ヘリに乗り込んだ皆さんはすでに目視できているかと思いますが東京に繋がる高速道路の一本がナイトメアに占拠されました」
 現場の拡大映像がディスプレイに表示される。その映像に視線を通すライセンサー達の様子を那由多は観察しているかのように押し黙った。
 やがてライセンサーの意識がヘリの中に戻ってくるとライセンサー達へと再び那由多が言葉をかける。
「密集しているため正確な数については把握できていませんが。多く50体前後存在しています。
 ただこのナイトメア、軒並み生命力が低い個体であったのでご安心ください。
 どれもライブラリに登録されている弱小個体であり、ほぼすべてのライセンサーが一撃で倒すことができるでしょう。
 また、ナイトメアの攻撃手段は、殴る、蹴る、タックルするなどの肉弾攻撃に限られます。
 その中でも三種類のナイトメアに別れるので、これを説明します」
 告げると那由多からデータが送られてきて、ディスプレイにはダウンロードの文字が浮かんだ。
 まとまって発信されたデータはディスプレイの中心で爆ぜると複数の情報を同時に画面上に表示する。

・精神干渉型
 一般人の精神にのみ干渉できるナイトメア。電池のような円筒状の外見。
 内側からバリケードを破壊させる目論見のようだ。

・飛行型
 背中に翼を生やしたナイトメア。ヘリに乗り込んで突入するライセンサーはヘリが攻撃される可能性を考慮する必要があるだろう。

・角型
 長い角が特徴で、このナイトメアだけ攻撃力が高い。バリケードを破壊するのに向く。


 全てがナイトメアのシルエットとステータス付きで表示される。
 それを一つ一つ口に出して説明すると那由多は最後にこのように言葉を終えた。
「以上が今回皆さんが相手にしていただくナイトメアになります。
 このナイトメアを速やかに駆除し、混乱極める東京に入れないようにお願いいたします。
 地形について、注意事項については別途資料をご確認ください。
 それでは見当を祈ります」


目標 ナイトメアの軍勢を東京に入れない

●戦闘フィールドについて

 今回は高速道路上での戦闘となります。
 幅はだいたい18M前後、シナリオスタート直後はバリケードが張り巡らされており、ナイトメアは先に進めなくなっています。
 この道路上に無数のナイトメアが押し寄せていますが、皆さんはこの道路の後方からナイトメアへ突撃するか、ヘリで上空から奇襲をかけるかを選ぶことができます。
 道路上からナイトメアに接触する場合はバイクと車輌の貸し出しを許可します。
 戦略に組み込んでみてください。

●バリケード突破について。

 バリケードは一定時間攻撃を受けるか、警官や自衛官が操られることによって耐久度がへり、破壊されてしまいます。
 破壊されても東京に入れなければいいので、すぐに大参事に繋がるわけではないですが。警官や自衛隊の皆さんに被害が出るでしょう。


■プレイング
・作戦
1ヘリからバリケードの側に降りて攻撃
2ヘリから攻撃
3バリケードとは反対側の道路後方から突撃
自らは1の作戦行動班。ヘリ奇襲によってまず後ろから接近、空中から目標を1番に精神干渉型、2番目に角型と決め狙いやすい位置にいた目標をフォースアローで攻撃。それを2、3回程繰り返してから味方に許可を貰いバリケード、上空に近づけてもらい降下。そこからなるべく声を出し皆に聞こえるように【精神干渉型が居る為優先してやってるが何人かは暴走するかもしれない。その場合こちらからも動くがなるべく暴走した者を止めて欲しい】という事を伝える。
その後はフォースアローで精神干渉型を攻撃。撃ち終わったら近接戦に以降、デュエルナイトソードに持ち替えてから、1番班と合流し味方と連携とりつつ自衛隊、警官のフォロー出来る距離でライトバッシュで攻撃。
戦闘終了後は自衛隊、警官、味方ライセンサー全員が無事だった場合喜ぶ。

■キャラクター描写
戦闘開始時に瞳と髪の色が桜色に変化。言動もはきはきしたものになり、ヘリからの攻撃時は桜色のIMDで弓を作り矢で攻撃(フォースアロー)
降下してからの自衛隊、警官へは【お待たせしました。もう大丈夫…と言いたい所ですが、もう少しお力をお借りしたいのです】と作戦を伝える。
近接戦時は再び変わり髪が赤色、瞳が橙色になり言動も過激に。
【後ろには守るべき者達が居るんだ!気張れよぉ!】とげきを飛ばす

■プレイング
●心情
東京は出会いの聖地!アタシの未来の為にも死守しなきゃ…
高年収優良イケメンが職を失ったら大変じゃない!
アタシの幸先の為に、誰かに訪れる悪夢(ナイトメア)は打ち滅ぼしてあげるわっ!
●行動
バリケード死守を優先。ヘリに搭乗し、バリケード手前か敵側に着地。
『いっくわよぉぉぉっ!』
『護身術程度の手並みだけど…』刀と槍を切替て戦うスタイル
『そこそこ程度には出来る女なんだからねっ!!』上を行く敵には槍を以って対処。
複数の敵との間合いが近い場合は刀を使い、戦闘を行う。
敵が「一撃」で仕留められる事に気付いてからは「槍」をメインに切り替える。
『…こんな事ならもうちょっと真面目に鍛錬しとけばよかったわ…ね…!』
踏込、槍の間合いを最大限に活かし。
突き、払い、薙ぎ。動作は連鎖し、刃先で捉えたナイトメアを他のナイトメアへ叩き付ける等
リーチを活かした攻撃を行い、スキルも活用。
恋して失恋するのはテンプレ

■キャラクター描写
嫁入り前の身体に傷はつけたくない!との思いは強い。
野武士(ノダケ ツカサ)。ノブシと呼ばれると怒る。すっごい怒る。『煩いわね!!ガードレールぶつけるわよ!?』
黙ってれば知的美人、だが短気。キレると狂犬気味な強情女子。
警官にイケメンが居たらガチで守る。そして妻子持ちと知って失恋する。(よくある)
服装は動きやすいようにスカートではなく短パン仕様。
■プレイング
※心情

ナイトメアとの初戦闘ですねー
私にとっては、これがファーストコンタクト、未知との遭遇。異文化交流(武力行使)が楽しみというものですー

※行動

事前に仲間と作戦・行動内容を相談
大きな差異が発生している場合は調整を行う
自身はバリケードとは反対側の道路後方に移動して攻撃を行う(車両やバイクで移動)

攻撃優先目標は角突き>精神干渉>飛行型
相手の動きを観察しつつ、移動速度や行動パターンを把握する様に努める
味方が奇襲を受けそうな場合は声を上げて味方に警告

戦法は中距離からの知覚攻撃(射撃)による攻撃
角突き攻撃時は生命の書装備+フォースアロー使用
精神型・飛行型攻撃時はエネルギーガン+ポイントショット使用

角突きの突進攻撃を警戒
相手の直線軸上に立ち入らない様に注意

エネルギーガン(以下:エネガン)は連続使用
エネガン3発使用した後、リロードせずサブ武器のエネガンに持ち替えて再度使用
間接攻撃が必要な状況以外ではリロードしない方針

近接戦闘が可能な距離に敵に入り込まれた場合、生命の書の角で相手を何度も殴打

バリケードを突破された場合は再びバイクに乗り、追撃
作戦終了後に付近に残敵が居ないか確認

■キャラクター描写
※戦闘中でも楽しく面白く行動、依頼に支障が無い程度に
■プレイング
大都市のど真中が突然戦場になるなど悪夢以外の何だというのでしょうか…。

目標:
敵の殲滅

行動:
作戦地域へは2機のヘリに分乗して向かい、1機には陸戦要員、もう1機にはヘリからの射撃要員を乗せておきます。
私は射撃要員としてヘリから地上班を支援する予定です。
ヘリのサイドドアを開いてライフルを構えます。

「作戦では開始。それにしても凄い数です」

地上班が降下する際、その隙を狙われない様に着地地点付近の敵個体を狙撃して攻撃。
ヘリ移動時や移動する敵個体を狙う際にはスキル:ポイントショットを使い確実に撃破していきます。

「撃破。確実に仕留めます」

狙う目標は精神干渉型の敵を優先とし、次いでヘリに近づく飛行型を捕捉して撃ち落とします。
射撃時には地上で戦う仲間にも気を配り、囲まれたりしたならば援護射撃を実施して支援します。
仲間はやらせません。

ヘリが攻撃を受け大きな被害を受けた場合、墜落させない為にも射撃要員も高架上に降りてヘリは退避させます。
その際は陣形後方に占位し、破壊された車の上で射撃姿勢を取りながらヘリ搭乗時と同じく射撃を実施します。

■キャラクター描写
ヘリではドアを開け放ったデッキに片膝を着いた姿勢で狙撃銃を構え、スコープ越しに見える敵のど真中を目掛けてトリガーをゆっくり絞ります。

「作戦終了。帰投します」
■プレイング
シスカ・楓と共に同じヘリに乗り、現場に急行。まずは前衛2人が無事バリケード側に降り立てるよう援護する。
事前にパイロットには『ヘリは射程5が通る(約25m)ほどの高度を維持しつつ、なるべく追ってくる飛行型から距離を取るように道路上空を旋回する』ように頼んでおく。

自身の第1目標:飛行型の注意を引き、少しでも敵を分断させ殲滅する
1発でも撃った状態なら敵が射程外にいるときなど隙を見つけて積極的にリロードは行い、それでも弾切れになったらサブ武器の上から順に持ち替えていく。
メイン武器はリロードせず、一度弾切れになったら基本使わない。順次リロードを行うのはサブ武器のみに絞る。
敵との距離に応じて適宜武器は切り替える。
敵との距離が縮まり、不味いとなったらポイントショット。確実に迎撃する。

パイロットとは常に機体の状態状況などを報告・確認し合う。もし攻撃によって機体がこれ以上もたないとなったら、ライセンサーは道路へ降りパイロットとヘリには全速力で退避して貰う(それぐらいはできる余裕を残しておく)
道路に降りたら、ヒールや射撃で味方の援護を。

もし飛行型を排除し終わり、ヘリも無事ならそのまま上空から味方を援護をする。その際にはメイン武器もリロードして使用する。

■キャラクター描写
私は私にできることを全力でやり遂げてみせます。
「標的確認。迎撃致します」
(髪や目の色が変わり別人のようだが内面に変化は無い)
■プレイング
【心情】「初任務、必ず生きて皆で帰る」
【目的】 道路後方からの突撃する紫陽花さん、ラムダさん(以下前衛と略)の援護。
【準備】前衛との連絡は装備についてる通信機器を使用。
【行動】 隠密スキルを使い車輌を盾に隠れて攻撃、状況によっては車輌内から攻撃。
前衛と通信機器で状況を報告。
前衛の援護が基本とし、射程によってメイン武器>サブ武器2を使用。
自分に接近する敵にはサブ武器2>サブ武器1を使用。
前衛との距離は射程5をキープして行動。射程外になりそうな時は全力移動を使う。
前衛がバリケード側の仲間と合流した場合、援護射撃をやめ残敵掃討を行う。
■キャラクター描写
前衛のヴァルキュリア、二人の戦いっぷりに驚き自分も負けてられないと奮闘する。
■プレイング
ヘリ部隊の強襲部隊及び範囲攻撃持ちの方々こそがこの戦線の要でありますね!
あぁそれと、最大限接近には注意を払いますが、もし非戦闘員の皆さまが精神干渉を受けてしまった場合、武を持って押さえ込む可能性がございます。電池みたいなナイトメアが見えたら自分の安全を優先して欲しいであります。バリケードのバックアップは我々に任せていただければと思うでありますよ!
【行動】
自分は地上班としてバイクを乗り回すであります。一先ず非戦闘員の護衛の為、バリケードへ。必要とあらば敵陣突破して行きましょう。バリケード等に問題がなさそうであればUターンして敵陣へ突貫します!
当方の最優先ターゲットは角付きであります。とにかく温存は考えず、【インパクトアタック】と【ライトバッシュ】にて数を減らしていきましょう!
一通り数が減ってきたら、バリケード側について、被害に遭った方々の手当て行うであります。このような時に【ヒール】が使えれば良かったのですが……。汗顔の至りであります。
ふふふ、しかしやはり!やはり我が身が傷付くのは心地良い。自分が傷付くことでその数だけ力無き人々を護れているのであります!か弱き者への攻撃をこの身が受ける事程の名誉は無いでありましょう!さぁ遠慮なく掛かっておいでなさい。市民に危害を加える不届き者は自分が相手になるであります!

■キャラクター描写
防衛、救出全てにおいて人を最上位の優先順位とし、自分の扱いを最下位に置いているヴァルキュリアです。その為ぱっと見捨て身の様に振る舞う時があり危なっかしいところがあります。
弱者に代わり自分が傷つくのはこの上ない喜び(それだけ市民の盾になれているという認識)ですが、自分の目の前で市民が傷つく事に我慢が出来ないタイプの性格です。
■プレイング
ヘリでの移動を選択、バリケードを壊そうとするナイトメアの殲滅を試してみる。武器の射程にバリケードと味方がなければパワークラッシュの全方位攻撃を乱発してバリケードへの攻撃を少しでも減らそうとする。可能なら狙うのは角つきをメインとする。最終的には飛行型相手であればエネルギーガンでの対空射撃も行うが、その前に陸上戦力の撃破を優先とする

■キャラクター描写
ギラガースの胸部装甲などを装備した見た目は兵器擬人化キャラのコスプレイヤー

●プロローグ
「大都市のど真中が突然戦場になるなど悪夢以外の何だというのでしょうか……」
『シスカ・マウ(la0253)』の声が、プロペラ音にかき消されず妙にはっきりと聞こえた。
『柚梨弥 楓(la2664)』は一瞬シスカを振り返る。
 シスカはとても、悲しそうに視線を伏せていた。
 事態発生から遅すぎる時間を持ってライセンサー達はやっと出動。
 少ないヘリをだし、今にもナイトメアで押しつぶされそうな防衛ラインを守るため急行する。
「ヘリは25mほどの高度を維持しつつ、なるべく追ってくる飛行型から距離を取るように道路上空を旋回しておいてください」
『セレスティノ・クレール(la0263)』がそう告げるとパイロットは頷いた。
「狙撃班到着しました。陸戦要員の方々は地上へ降下を。こちらで援護します」
 シスカはその言葉を力強く証明するようにスナイパーライフルを取り出し構えた。
 目標は、飛行し空中からバリケード食い破らんとするナイトメアたち。
「それでは作戦を開始します。それにしても凄い数です」
 このナイトメアの中をこじ開ける陸戦班の苦労を思うと眩暈がしそうだった。
「楓さん気を付けて」
 シスカを援護すべくセレスティノは銃を構える。
 その後、何かに気が付いたように顔をあげるとセレスティノは楓に微笑みかけた。
 その言葉に頷き楓は拳を握りしめる。
「いってきます」
 ロープ一本を導きに、滑り落ちながら迫る飛行型ナイトメアへフォースアロー。
 一撃のもと粉砕し着地するとプリンセスロッドを構えて告げた。
「もう大丈夫です。ここからは私たち」
 ライセンサーが受け持ちます。
 そう告げる楓は凛と敵を見すえて立つ。髪の色が青く変わるごとに市民たちの熱は上がっていく。
 助かるかもしれない。そんな声が声援となって楓の背を押す。

●第一章 粉砕


 開戦の祝砲はライセンサーの手より。
 シスカはヘリによる飛行型ナイトメアを駆逐しながら地上の援護をしていた。
 高速道路にひしめく百鬼悪霊。
 その中心に楓が立ち牽制のために銃弾を放っている。
「お待たせしました。もう大丈夫……と言いたい所ですが、もう少しお力をお借りしたいのです」
 そう楓はライセンサーの意図をバリケード組に伝えると踵を返す。
 髪の色を赤く変え、叫んだ。
「後ろには守るべき者達が居るんだ! 気張れよぉ!」
 彼らを減らさなければそもそもバリケードの内側にいる一般人たちの様子を確かめることもできない。
「もうだいぶ減らしたと思うんですけどね…………」
 苛立ち交じりに告げるシスカはそれでも敵を逃すことなく的確に弾丸を撃ち込んでいく。
 その銃声を合図に『ラムダ・ランバート・ラシュレー(la0557)』はバイクのギアをあげた。
 どうやってかわからないが高架下からジャンプして飛び出す一台のバイク。
 高速道路に出現したラムダはタイヤが空転するのも構わずスロットルを全開にしてぎゅるるるるるとものすごい音を立て敵に突っ込んだ。
「そっちは大丈夫そうね!」
 ナイトメアをバイクの後輪で弾き飛ばすとラムダはバリケードの前でUターン。
 バリケードの向こうに話しかけた。
「向こうで気が狂ったようになっている人はいますか?」
 その言葉にバリケード向こうの警官や兄ちゃんは首を振る。
 まだ精神干渉には余裕があるらしい。
「もし非戦闘員の皆さまが精神干渉を受けてしまった場合、武を持って押さえ込む可能性がございます」
 そうさらりと言い放つラムダに全員身の毛のよだつ思いをしたという。
「電池みたいなナイトメアが見えたら自分の安全を優先して欲しいであります。バリケードのバックアップは我々に任せていただければと思うでありますよ!」
 直後上空から何かが落下してきて、それが強くコンクリートを打ち据えた。
『ギラガース ディエーヴゥシカ(la2413)』がもうもうと立ち込める煙の中で立ち上がり、笑みを浮かべていた。
 その近くでは絶命したナイトメアが塵と帰っている。
「さて、恨みがあるわけではありませんが、根絶します」
 振り上げるスタークレイモアの射程範囲内が地獄と化す。
 追いすがり、振り回し。叩きつけ引きつぶす。
 その圧倒的な戦闘力の前に無数のナイトメアが命を散らしていった。
 幸いバリケードへの影響は出ない位置だが、あれは迂回しないといけないだろう。
 そうラムダは考え戦闘プランを変更。
 空中に巻き上げられた角つき二体が空中で絶命し塵と帰るのを見送ってラムダは再びアクセルをふかした。
「負けてられないであります」
 あっけにとられる一般市民にウィンクを返すとラムダは、バイク後部座席に格納されていたハンマーをその手に取り構える。
 飛びかかってくる角つきナイトメアをゴルフの要領で吹き飛ばす。
 その一瞬速度が落ちた隙をねらって、角つきナイトメアが挟撃を仕掛けるが、そのうち一体の前に『月ノ屋 美弥(la0987)』が立ちはだかる。
 いったい今までどこに。そう闇から浮上したと錯覚させる美弥の潜伏術は完全にナイトメアの意表をついて横っ面からの一撃を受け入れた。
「助かるであります」
 告げるとラムダはアクセルを踏んだ。それと同時に美弥も散開。
「か弱き者への攻撃をこの身が受ける事程の名誉は無いでありましょう! さぁ遠慮なく掛かっておいでなさい」
 追ってくる敵を引きうちしながら興味を引き付け続ける。飛行型ナイトメアの奇襲を前転で回避してさらに走る。
「当方の最優先ターゲットは角付きであります」
 バイクをのタイヤを滑らせ、姿勢を低く飛行型の攻撃を回避。そのまま起き上がる勢いを利用してハンマーを振りあげ、振り下ろす。
 衝撃波で敵が怯んだところに回し蹴りを叩きこんで精神型を吹き飛ばすと回転する勢いを利用してもう一体角付きのナイトメアをハンマーで粉砕した。
 そのラムダの暴走を止めようと背後からナイトメアが迫るがそのナイトメアをさらに背後から射抜く少女が一人。
「あんまり前に出ないでくださいまし」
『紫陽花(la0499)』である。
「出し惜しみはなし、全力でいく。これが自分のスタイルであります」
 告げるラムダは紫陽花の支援を受けて危なげなくナイトメアを撃破していく。
「御嬢さんこそ、もっと後ろで待機しているほうがいいでありましょう? 確か初陣。尻尾まいて逃げ帰っても誰も責めはしないであります」
「私が女の子? ふふふ…………ありがとう」
 その可憐な声。可愛らしい立ち振る舞い。どこからどう見ても少女だが。
「ん?」
 そんな不敵に笑う紫陽花の反応に違和感を感じ、ラムダは首をそう傾げた。
 しかし戦場、追及している暇もなく迫りくる敵を柄で打ち上げるように吹き飛ばした。
「確かに私にとってはこれがファーストコンタクト、未知との遭遇。だからこそ」
 紫陽花はその力を最大解放、暴虐の嵐でもってナイトメアたちを粉砕していく。
「異文化交流が楽しみというものですー」
 そう微笑む紫陽花に突撃してくる角つき。
 その側面をスナイパーライフルで打ち抜く美弥。
「二人は僕が支援するよ。だから思う存分やって」
 二人の奮闘ぶりに負けていられないと自分を奮い立たせ支援をかって出る美弥。
 戦闘はまだはじまったばかり。


●第二章 防衛

 ヘリの操縦がうまくいかないようだ、風で流れて射撃位置が少しずれた。
 シスカは歯噛みして反対のとびらを開ける。デッキに片膝を着いた姿勢で狙撃銃を構え、スコープ越しに見える飛行型ナイトメアの頭、ど真中に的をしぼりトリガーをゆっくり絞る。
 敵を一体撃破、しかしまだ戦いは終わらない。
 敵の掃討は進んでいる、ただどれだけ敵を減らしてもバリケードへ攻撃されては無意味だ。
 そのために『野武士(la0115)』が立ちはだかる。
「東京は出会いの聖地! アタシの未来の為にも死守しなきゃ……」
 そう告げる士は迫りくる角つきナイトメアを叩き落として足で踏みつける。
「高年収優良イケメンが職を失ったら大変じゃない! アタシの幸先の為に、誰かに訪れる悪夢(ナイトメア)は打ち滅ぼしてあげるわっ!」
 そんな宣言をバリケードの向こうで聞いている一般人たちの心境は複雑である。
 ただ、士が立ちはだかったことで精神干渉もままならない。
 ナイトメアのターゲットが士に移る。
「いっくわよぉぉぉっ!」
 士は青い髪を揺らして刀を抜き放つ。
 居合で一撃。踏み込んで二撃。
「護身術程度の手並みだけど……」
 その時である、地面を揺らす振動に気をとられ視線を向けてみると、ギラガースがその刃で纏めてナイトメアを屠っていた。
 この時士は思う。敵の耐久度は最低ランクなのではないかと。
 ナイトメアに刀を突き刺すと装備を槍に変更。大地を掴むように力をため、突撃し敵の陣形に風穴を開ける。
「そこそこ程度には出来る女なんだからねっ!!」
 そう上空からバリケードを越えようとした飛行型ナイトメアに対して士は槍を足場に飛んだ。
 下から振り上げるような斬撃で敵を両断すると背中から落ちてのた打ち回る士。
「……こんな事ならもうちょっと真面目に鍛錬しとけばよかったわ……ね……!」
 精神型ナイトメアがその胸にダイブしてくるのを転がって避けると蹴りで槍を打ち上げて、その回転力を生かし立ち上がる。槍を空中で掴み取ると敵を睨んだ。
 槍の間合いを最大限に活かし。突き、払い、薙ぎ。
 全ての動作は連鎖し、刃先で捉えたナイトメアを他のナイトメアへ叩き付ける吹き飛ばす。
 バリケードには誰も近づけない。
「いいぞ! 野武士」
 誰かが声をあげると声援が高まる。
 始まる野武士コール、しかし。
 士はその呼び方が嫌いである。
「煩いわね!! ガードレールぶつけるわよ!?」
 一瞬注意がそれた瞬間、角型ナイトメアが士を襲う。まるで弾丸のように突進してくるそれを避ける時間はない…………が。
「ガードレール開いてください」
 次の瞬間ラムダが士を吹き飛ばすように突っ込んできた。
 そのままの勢いでガードレールの隙間に体をねじ込むと、背後で衝撃音。
 二人は何とか攻撃を避けることができた。
「うーん、これがイケメンくんならよかったのに」
 告げる士にやれやれとリアクションを返すラムダ。
 地面に転がったままの士へは代わりに迷彩服を纏った男性が手を差し伸べた。
「危ないところを助けていただきありがとうございました」
「え? いえ? こちらこそ?」
 ロマンスの香りである。
 そんなバリケード向こうの様子などつゆ知らず。
 紫陽花が敵を応戦している。
「飛行型がバリケードの向こうに行きそうですけど、大丈夫ですか?」
 紫陽花がバリケードを振り返りながら告げる。
 紫陽花としてはバリケードに張り付く精神干渉型を葬るので手がいっぱいである。
 放たれるフォースアローは、バリケードをガンガン叩いていたナイトメアの動きを止め体が傾ぐ、次いでその体は力をなくしそれはやがて塵になる。
 ナイトメアが爆発して命を散らすタイプで無かったと安心する紫陽花である。
 そう思いながら。迫りくる角付きをエネルギーガンで応戦する。
 リロードしている暇はない、敵は波のように群がってくる。紫陽花は次々とエネルギーガンを抜きそれを放つ。
 それでも突っ込んでくる角つきのナイトメアだが、その頭に本をかぶせる紫陽花。
 スカートが角にかかり引き裂かれるも回避。その後生命の書を抜きその角で敵をなぐりとばした。
 敵の襲撃もひと段落、いったん距離をとりながら紫陽花はバリケードの方をむいた。
 ライセンサー達の奇襲が効果的でバリケードも十分にもちそうだ。
 であれば次にやるべきことは被害者の手当てである。
 命に係わる負傷者はいないが。骨折、流血患者は山ほどいた。
 ラムダは救急セットを手に取る。
「このような時に【ヒール】が使えれば良かったのですが…………」
 まぁない物ねだりをしても仕方がない。
「ふふふ、しかしやはり! やはり我が身が傷付くのは心地良い。自分が傷付くことでその数だけ力無き人々を護れているのであります!」
 そう手当てをしながら微笑むラムダに足を骨折した男性は引いていた。
 その男性の瞳が見開かれることになる。
「おい、あれ見ろ!」
 ラムダが空を見上げるとヘリがくるくる回りながら高度を下げていた。
 煙をもうもうとあげている。
 脱落するヘリの中からセレスティノが操縦員を抱えて飛ぶ。着地と共にヘリが墜落して大爆発した。
「注意をひきすぎました」
 告げるセレスティノはリロードを行いながら小走りで最前線へ。
「おいあんた、まだ戦うのか」
 そう話しかけてくる男をヒールで癒し。銃を担ぎ直した。
「まだ動けますよ、見ていてください」
 バリケードの前に立ち、隙間からナイトメアたちを見る。
 敵はすでに半数以下。敵の指揮も落ちている、だったらやるべきはこうだ。
「最大火力で敵を押し返します」
 敵を先導していた精神型ナイトメアの頭を吹き飛ばすとバリケードに身を隠して狙撃位置を変更する。
 弾丸を撃ち尽くしてリロード、撃ち尽くしてリロード。
 飛行型以外の敵は鴨うちのごとく簡単に射抜けたが数が多い。
 ギラガースが、ヘリを破壊し終わった飛行型相手にエネルギーガンを撃ちまくっている。
 バリケードからの遠距離射撃戦に舞台は移行した。
 楓は銃を撃ち尽くしたのかデュエルナイトソードに装備を変更。
 ギラガースの周りに群がるナイトメアを一体一体屠って行った。
「もう少しだ! 踏ん張れ!」
 その楓の気概にちらほら逃げ出す敵が出始めた。
 これなら。
 楓は桜色に染まった髪を振り乱す。力の限界も近い。
 それでも今は虚勢を張らなければならない。
「逃げようってか! 虫が良すぎるんじゃねぇか?」
 逃走しようとした角型を切り付けちっりと返す。
 そして追撃しようと楓が走り出すとそれを士が制した。
「まって」
 見れば残りの敵も三々五々に散って行く。
 敵を退けることには成功したのだ。
「大丈夫だったみんな? 特に自衛官の彼」
 そう士は戦いの疲れなど無いかのようにバリケードの向こう側に歩み寄る。
 すると先ほどの男性が士に握手を求めた。
「ありがとう、あなた達のおかげで死傷者が出ずに済んだ。私も妻に悲しい思いをさせずにすみます」
 凍りつく士。
「え? 奥さんいるの?」
「私が死ねば子供ともども路頭に迷うところでした」
「子供まで!!」
 その衝撃に打ちのめされる士。
 そんな士の肩を叩く楓。
 その背後ではラムダが本部に連絡を取っていた。作戦終了である。


成功度
成功

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重体者はいませんでした。

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