銀色のレクイエム マスター名:鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
ジャンル
救出
人数
68
相談期間
3
プレイング締切
09/06 24:00
完成予定
09/26 24:00

●襲撃された児童会館。

 学校が終わり18時頃。
 夕暮れも深く、金色から藍色に変わる時刻。
 その事件は起こった。
 東京を中心に発生するナイトメア多発事件。
 その事件簿の中にこの施設の名前が名前を連ねることになるとはだれが考えるだろう。

 その日『雨繰 雛(あめくり ひな)』は児童会館で母の帰りを待っていた。
 共働きの母、疲れて悩んでも自分に優しい母。
 雛は母を尊敬していた。
 だから困らせることはないようにとどれだけ帰りが遅くなっても笑顔で出迎え、一緒に家に帰る。
 それが雛の信念ともいうべき感情で……、絶対破りたくないマイルールだった。
 来年から中学生、中学生になったら家の鍵をもらえる。
 そんな話をして帰路についた昨日のことを思い出す雛。
 少し、それが嬉しかった。
 まるで自分の成長が認められたかのような。
 そんな雛の背後で慌ただしく扉が開く。
 振り返れば血相を変えた施設のスタッフが立っていた。
 どうしたの?
 そう問いかける前にスタッフは雛を小脇に抱えて走り出す。
「先生。どうしたの?」
「ナイトメアが、ナイトメアが施設に出たの、だから、みんな避難して。部屋は、いつもあなた達がお昼寝に使う……」
 その時だった。
 雛が突然地面に投げ出されることになる、次いで背中に浴びせられる熱いシャワー。
 べとべととした手触りの液体。錆臭さ。
 それだけで想像は難しくなかった。雛は振り返ることなく走り出す。
 背後で笑い声ともつかない騒音がガチャガチャと響くのが聞えた。
「お母さん」
 泣き出しそうな気持ちを押し殺して、そして雛は走り出す。鉄がこすれる音がして扉が吹き飛び、雛の隣を転がっていく。
 雛は階段を駆け上がった。



●炙られる夜に

 その施設は早い段階から通報がありナイトメア関連の事件として隔離されることになった。
 周囲には警察とバリケード。
 関係者と思われるスーツの男や、万が一に備えて待機するライセンサー達。
 そんな中一際目を引くのは、下半身が無く横たわる女性の姿だろう。
 血が搾り取られて真っ青となったその死体、その手を握りしめて放心状態になっているのが。
『雨繰 鴎(かもめ)』
 この児童会館の中に取り残された娘、その母親であった。
 鴎はこの場に駈けつけた君たちを見るとすがるように告げるだろう。
「あの子を、あの子たちを助けてあげてください」
 早くしなければ雛が切り刻まれてしまう。
「全員で何人が取り残されているいんだ」
 一人のライセンサーがそう問いかける。すると逃げ出すことができた施設スタッフが教えてくれる。
「六人だ。雛ちゃんを含めて六人」
 そうスタッフは告げた、その矢先である。
 建物が爆発し天井が吹き飛んだ。
 いったい何が起こったのかはわからない。
 外見的には真四角な施設だ、外側からではどの箇所が破損したかはわからない。
「ああ、もしかすると壁の裏を通っているガス管が損傷して、爆発したのかも」
 その光景をただ見守っているしかない背広の男、施設の持ち主である彼がそうつぶやく。
「突入するのであれば中庭を抜けるといい。見晴らしもいいし戦闘もしやすい、少なくとも廊下で戦うよりはいいだろう」
 そう君たちに告げた。
「どうか、雛を助けてください」
 そう再び告げた鴎に一人のライセンサーが問いかけた。雛という少女はどこにいるのかと。
「雛は先ほど窓の向こうを歩いていくのが見えました。一回の廊下を歩いていた」
 その言葉を不自然に思うだろうか。
 考えてみれば児童会館内にいるナイトメアは二体と報告が上がっている。
「雛の歌が聞える、間違いない、あの子の好きな歌が聞えるの、ひどくか細いけど、きっとあの子」
 そのナイトメアは異形の存在、少女と見間違うはずがない。
「私が雛を見た時、胸を押さえて微笑んだの、あの子が……泣きたいのを我慢している時に見せる仕草よ。絶対雛。まちがいないわ」
 告げる鴎。しかしだ鴎が言うように少女が施設内を闊歩しているというなら、目の前にいる女性のように両断されていてもおかしくないのだ。
 かといって鴎が幻覚を見るほど錯乱しているようには見えない。
 この施設内部には二種類のナイトメアが存在するかもしれない。
 そう想像するのは難しくなかった。
 それはたとえば人間の姿形だけでなく記憶をも模倣するナイトメア。
 その名はデイドリーム。
 白昼夢の名前を関するナイトメアは、この戦況にどう干渉するのだろうか。



●閲覧検索ナイトメア

「皆さんの家族、その安否確認はとれておりますでしょうか。
 こんばんは。
 今回皆さんのオペレートをさせていただきます『那由多』と申します」
 冷えた声のオペレーターと全員のインカムが繋がる。
 場所は事件の発生した児童会館前。ライセンサー達はオペレーター、そして本部の意見をうかがうために通信回線を開いたのだった。
「さっそく今回のミッションに関して詳細を報告させていただきます。
 今回はナイトメアに襲われた施設に潜入、ナイトメアの撃破と共に少女たちの救出が必要です。
 僭越ながらアドバイスさせていただくと、役割分担が重要となってくるかと」
 言ってしまった後で、那由多は不自然に言葉を切る。ライセンサー達の様子を窺うような無言が一時場を支配した。
「……いえ。私の立場からすると過ぎた言葉でしたね。申し訳ございません。
 さて今回接触されると目されるナイトメアですが二種類存在します」
 次の瞬間ライセンサー達の持つ電子端末が震えた。今回は作戦本部を設置している暇がないのでライセンサー達のスマホやタブレットに敵の資料を送ったのだ。
 中身は3Dデータ付きの敵の情報だった。



「こちら、両手が鎌となっている人型ナイトメアが……『攻撃型ナイトメア・スナッチ』
 全長2M程度で、そのポテンシャルの全てが攻撃力に集約されています。
 その鎌の斬撃はすさまじい威力を持ち、ライセンサーの装備以外では止める術はなく。
 コンクリートや鉄柱はもろとも両断されてしまうほどです。
 ただ、攻撃距離はその腕の長さ80センチ程度に限定されるので対応はしやすいと思われます。
 また貫通性能はないのですが、斬撃を飛ばすことも可能のようです。こちらは半径3M程度なら届く様子です。
 狭い廊下での戦いは得意そうでもありますね、正面切っての戦闘は歴戦のライセンサーでも不利だと思われます。十分注意してください。
 防御力やスピードは並以下のナイトメアなので、チームで挑めば攻略の難しい敵ではないとは思いますが。
 問題は二体分の目撃情報が存在することでしょうか」

 さらに那由多は続けてナイトメアの情報を口にする。


「精神型ナイトメア『デイドリーム』
 今回一番厄介となるナイトメアです。
 このナイトメアは誰かの夢を介して人間と繋がり、その性格、記憶を模倣する能力を持ちます。
 これはライセンサーに影響できるほどではありません
 今回は予想として救出を依頼されている少女『雨繰 雛』を模倣していることでしょう。
 デイドリームはその場合、雛ちゃんの姿と記憶を模倣すると思われます。
 ただこの行動は捕食行動とは別であることが確認されているのでご安心を。
 模倣先の個体、その能力も模倣するため、ナイトメアであるにも関わらず少女程度の身体能力しか持たないことが救いです。
 本来の姿は細かな光が集まった人型の幻影のような存在ですが、実態は確実にあるので攻撃は通ります。
 うまく攻撃があたれば、その体は脆いので、数度の攻撃で塵となってしまう事でしょう」

 そのデイドリームについて那由多が補足する。

「なぜこのような特殊なナイトメアが出現するのかは、実は定かではありません。
 つまり、デイドリームの存在目的は謎を多く含んでいて、イレギュラーな行動をし始めることも考えられます、注意してください」
 那由多はライセンサーの反応を待ち言葉を続けた。
「一説には、ライセンサーへの精神攻撃が目的なのではないか……というものがありますが。
 皆さんでしたらナイトメアごときに心を傷つけられることはないですよね」
 那由多は信頼していますと……か細い言葉を残す。
「ただ、残酷な事実を申し上げると。
 外見や行動、話し方からだと親すら判別することは不可能なほど高い模倣能力を持っています。
 それに一役買っているのが、このナイトメア独特の能力。思い込みです。
 このナイトメアは自分自身の事をコピーした本人だと思っており。自身をまさしく『雨繰 雛』だと思っているはずです」
 またナイトメア『デイドリーム』の『雨繰 雛』模倣状態は、雛の死亡を持って解除される。
 リンク元が居なくなってしまえば当然の事である。
「なので皆さんの姿を見ただけで逃げ出し。攻撃されると傷つき、恐怖すると思われます。
 最悪の場合、本物の雛ちゃんに変わって鴎さんの元へつれ帰るように行ってくるかもしれません。
 皆さんのPCはこのナイトメアを無感情に処理できるでしょうか」
 そう那由多が言葉を不吉に締めくくった。


目標 ナイトメア三体の撃破



●施設内部構造
 施設はそこまで広くありません。
 施設の中央に中庭。それをロの時に通路が囲み。各辺に大きな部屋があります。
 それが二階にも同じ構造で広がっています。
 皆さんは一回のエントランスから突入するでしょうか。そこはプレイング次第というところですが。
 雛が閉じ込められているのは二階の一室のようです、途中廊下を瓦礫がふさいでいます。



●施設に響く歌~~~~~~~~~~~~~~~下記PL情報~~~~~~~~

 PL情報とはPCは知りませんが、このOPを読んでいるプレイヤーの皆さんは知っている情報です。

 瓦礫で覆われていますがライセンサーであればその攻撃二・三発で瓦礫を撤去できるでしょう。
 少女は五人いて、全員が足や腕にけがをしています。
 この少女たちの中に『雨繰 雛』がいます。
 謳っているのは彼女です、ただ雛だけは下半身が瓦礫に埋まっており失血もひどく、ひと目で助からないとわかります。
 この状況で皆さんはどうするでしょうか。 

 さらに雛は皆さんに伝言を頼むことでしょう。
「お母さんに、大好きだよって、つたえて」
 そう言葉を残すことでしょう。

 ただ、今回の目標はあくまでナイトメアの撃破。
 救出対象は救出されなくとも皆さんが責められることはありませんのでご安心ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ここまでPL情報~~~~~~~


【心情 】
「なんとしてでも、子供たちをたすけなくては」?

【目的】
スナッチを撃破、自分以外の無事な帰還

【準備】
梓、ナハト、ナーシャらと隊を組み同道。情報共有はスマホをハンズフリー通話にし、ワイヤレスイヤホンで常にグループ通話する。

【行動】
建物1Fから突入。2Fを探索。梓、ナハト両名の背後を守るように位置取りをする。もし、デイドリームを発見したら、一旦、雛に接する体で安全な部屋に避難(隔離)させる。
スナッチを発見したなら、「移動攻撃」で、ヒット&ウェイ。囮となって、中庭に誘引。

戦闘ではランスの射程を維持。正面には立たないようにし、攻撃よりも回復支援を重視する。もし、戦闘不能者が出た場合、シールドを立てて前を塞ぎ、かばう

戦闘終了後、休まず、子供たちを探索

梓と雛の様子を見守る
一人で残る
【心情】
「これ以上の犠牲を出さない為に、最善を尽くします」
「救うべきモノを救い、撃つべきモノを撃ちましょう」
【目的】
スナッチ、デイドリーム撃破
人助けを目的に参加。
【準備】
スマートフォンとワイアレスイアホンで情報共有の準備。
その他に作戦があれば事前に打ち合わせ、協力する。
【行動】
突入後はチームを組み、ニア、カルア、アグラーヤと1Fを重点的に探索しスナッチを探す。
後方で背後からの奇襲に警戒する。

1.スナッチ捜索
遭遇時に発見の情報共有。戦闘時は後衛として支援に重点を置く。
味方をヒールで回復し、合間にポイントショットで射撃。武器持ち替え多用。
「主には忠誠を。お客様には歓待を。招かれざる悪夢には――――銃弾を」
戦闘終了後には、倒した相手に向けて優雅に一礼する。

2.デイドリーム捜索
1以前→子供達を助けに来た事を伝え、一旦安全な空き部屋に避難させる。
1以後→子供達や外の人々から見えない空き部屋に誘導し、うさぎのぬいぐるみを渡して気を引いたうえで
至近から射撃武器による射殺を試みる。逃走を試みられた場合、逃げる背中に向けて射撃を行う。

3.子供達遭遇時
情報を共有し、応急処置セットで簡易的な治療、その後他のメンバーへ任せ1と2へ移行
※大方針
4人×2に分かれスナッチの各個撃破。
アルフィンレーヌ・ナハト・ナーシャと組み正面から突入し2Fを重点的に索敵
作戦中はスマートフォンにインカムを組み合わせ常に全体グループ通話
探索時は先頭で気配を探る
スナッチ撃破後は2Fで子供の救助に当たる

※スナッチ発見時
場所と数を全体通話に報告
最前線で後衛への射線を遮るよう立ち回る
鎌の届かない間合いを心掛けつつ攻撃
味方を巻き込まない位置ではパワークラッシュを積極的に使う
攻撃が命中しにくい場合にはレガース装備

※デイドリーム(雛の姿)発見時
2Fにいる本当の雛と鉢合わせしないよう空き部屋へ誘導する

※子供達発見時
子供たちに声を掛け安心させる
応急処置セットでケガを処置する
出口までの誘導は他のメンバーに任せる
雛に優しく微笑みかけ、最期まで手を握って語り掛ける

※鴎に対して
雛の遺体は鴎に見えない所で職員に引き渡す
雛の最期の言葉と想いを鴎に伝え傍に寄り添う
自分の境遇を語り、失意の鴎に共感を示す
■心情
「早めに始末しないとね。子供達も…無事ならいいけど」

■目的
ナイトメアの殲滅
子供の救出

■行動
・概要
スナッチの捜索及び戦闘担当
A班:ニア・カルア・三式と共に行動
特に同じく近接戦を主体とするニアとの連携を密に

・捜索
壁や床に刃物による切断跡などがあればそれを頼りに追跡
発見時は全員に即座に伝達、2体同時に発見した場合は分断のため行動
付近に子供がいる、もしくはその可能性が高い場合は衝撃波を誘発させないよう早期接近を意識

・戦闘
ニアと共に左右挟撃の形で一気に間合いを詰め敵の注意を引く
狙われた側は刀による防御で攻撃を凌ぎ、フリーになった側が側背面に移動・攻撃
背面移動やニアの行動により敵の隙ができた場合、旋空連牙やパワークラッシュを狙う
攻撃の際は腕もしくは脚を重点的に狙い、攻撃・移動力を削ぐことを意識

・スナッチ殲滅後
デイドリーム対応班の動向を把握しつつ子供捜索
瓦礫の撤去などは積極的に協力

・雨繰 雛への対応
基本は対応班に任せるが、まだ本物であるという確証がない場合は常に警戒
本物が死亡する場面に居合わせた場合、他の子供達が見ないように計らう
(見ないほうがいい。…見ないで済むなら、それが…)

■終了後
共闘したライセンサー達に礼を
中でも連携を密にしたニアには特に感謝
「ありがとね。…また、会えるといいな」
※全体方針
1.4人×2に分かれスナッチ撃破。安全確保最優先
スナッチA担当 アグラーヤ・ニア・三式・カルア
スナッチB担当 梓・アルフィンレーヌ・ナハト・(ナーシャ)
プレイングは各自の適正に合わせて。連携はチームごと調整。
アルフィンレーヌを中心に中庭へ誘導し広く戦えるよう意識する。

2.デイドリーム撃破/子供の救助
デイドリーム撃破チーム ナハト・三式
子供救助(&雛対応) 基本残り全員

3.(オプション) 鴎対応


※流れ
建物1Fから突入。Aは1F、Bは2Fを探索し、スナッチの捕捉・撃破を優先する。
その過程でデイドリームを発見したら
一旦雛に接する体で安全な部屋に避難(隔離)させる。
情報共有はスマホをハンズフリー通話にし
ワイヤレスイヤホンで常にグループ通話する。

2以降のロール
カルアは、残った他のメンバーと共に少女達の誘導をする事にした。
その中に雛が居ることを確認をし、メンバー全員に通達をする。
心情】
「こんな悲惨な事が……っく
これ以上繰り返されてたまるものか……食い止めよう!」

目的】
ナイトメア3体(スナッチ×2、デイドリーム×1)の撃破

作戦】
流れ:全体方針に従う
スナッチ戦では自身はB班(梓・アルフィンレーヌ・ナハト)として2Fを探索し
スナッチの捕捉・撃破を優先
その過程でデイドリームを発見した場合
一旦雛に接する体で安全な部屋に避難(隔離)
情報共有はスマホをハンズフリー通話にし
ワイヤレスイヤホンで常にグループ通話。
他仲間の方針に従う。

行動】
・スナッチ戦ではを仲間の援護を主軸に行動。
・攻撃にはライトバッシュ、ポイントショットを駆使
・敵との距離感、弾切れに注意して戦う。
・仲間との共闘、急所狙い、トドメは積極的に。
「救いを待ってる人がいるんだ、邪魔するなら……容赦は出来ない!」

・戦闘終了後には子供達を探し出し
周辺を警戒しながら、子供達を避難誘導する。
・その際避難に支障をきたしている怪我の子がいれば
腕の怪我で力が入らない場合は横抱きに抱える。
それ以外の怪我の場合はおんぶで対応。
・諦めてしまいそうな子には勇気づけたい
「歩くのが辛い者がいたら私がおぶろう」
「皆しっかり!あともうちょっとだ!」
◆行動
・対スナッチ戦
二つの班に分かれ、B班で行動。殿を務めスナッチの奇襲を可能な限り警戒して、スナッチの索敵を行う
スナッチを発見したら前列に後衛との間に割って入る形で移動して立ち、スナッチの注意を惹きつけ後衛への意識逸らし狙い
仲間の攻撃の射線・範囲内に被らない様に立ち回りながらライトバッシュで攻撃。また、自身の得物が一方的に届く距離を維持して攻撃する事を意識

・対デイドリーム
見つけ次第先ずは確保優先。逃げ出す様なら全力移動で追いかけ捕獲狙い。確保出来たら、他の救助者(子ども達)が居ない場所へと連れていく
周りに他の子ども達等が居ない事を確認出来たら出入口を塞ぐ形で位置取り、一つ呼吸をしてから切り替える様に感情を殺し全力で攻撃し殺しにいく
可能なら、一撃で屠るべく首を狙う
子供とか…狙う場所がいちいち気分わっりぃの…(むぅ

A班前衛
ズタボロの館内に咥えた棒飴をガリッと噛み砕き
顔を顰めるもすぐに笑顔を作り
「そんな広く無さそうだしすぐ見つかりそうだよな。行こうぜ?」

敵発見時
アグラーヤと連携してスナッチ対応
互いの死角を補い合う様に位置取り
アグラーヤが狙われた際は敵側面を狙いスキル使用
又、自身が狙われた際は敵椀部中央の打ち上げや受け流し優先でアグラーヤが攻撃する隙を作る
「物騒なもん振り回してんじゃん?腕が武器とか格好いいけど、あんたはダッセェな」

敵斬撃が縦の際は左右に、横の際は身を低くして避ける
鎌は直撃を避け、回避を重視
回避困難な場合はあえて一歩踏み込み獅子王の背を滑らせる様に受け流す
戦闘しつつ可能な限り中庭へ誘い込む様行動
アグラーヤと共にスナッチの両腕を抑える事で参式とカルアが敵を狙う隙を作る
「うぉぁっ!?っぶねえぇ…」
「眼の前ばっか見てっと足元掬われんぜ?」

デイドリーム捕獲後は逃さない様出入り口を塞ぐ様に壁にもたれ
逃走時は退路を閉ざし
右手でデイドリームの目元を覆い視界を塞ぐ
「ずりぃよ…そんなんさ…でも、お前は鴎さんの救いにはなんねぇんだよ」

●プロローグ

 夜、星空をさらう曇天に赤々と炎が写っている。
 現場は混乱と悲鳴で満たされている。
 鴎は泣き崩れ、スタッフたちは茫然とそれを見守る他にない。
 ナイトメアに占拠された孤児院。その中から少女を助け出すために編成されたライセンサー達は場の絶望的な雰囲気に歯を食いしばって、大丈夫全てうまくいくと言うほかなかった。
「こんな悲惨な事が……っく これ以上繰り返されてたまるものか……食い止めよう!」
『ナーシャ・フォンテューヌ(la0064)』が拳を握ってそう告げると、その言葉に頷く『アルフィンレーヌ(la2183)』
「なんとしてでも、子供たちをたすけなくては」
 この炙られる夜に、ナイトメアの巣窟へライセンサー達は飛びこまなければならない。


●第一章 捜索と遭遇

 ライセンサー達は四人双班に分かれることにした。
 撃破対象であるスナッチ二体に裏をかかれないための処置だ。
 デイドリームについては出方がわからない以上、警戒するほかない。
「これ以上の犠牲を出さない為に、最善を尽くします」
 そう無機質に告げた『戦闘用自動人形 参式(la2357)』は銃を構える。
 耳についているワイヤレスイアホンはスマートフォンで管理している。いつでも連絡をとれるようにする処置だった。
 この参式が所属するのがA班。
 チームは『ニア・クリムローズ(la2579)』『アグラーヤ(la0287)』そして『九頭龍 カルア(la0852)』その参人の背中を見ながら狭い廊下を進軍していた。
「早めに始末しないとね。子供達も……無事ならいいけど」
 告げたのはアグラーヤ。
 その言葉に同じく先頭を務めていたニアは頷き、こう言った。
「子供とか……狙う場所がいちいち気分わっりぃの……」
 壁の向こうからぱちぱちと音が聞こえる、そんなぼろぼろな館内。
 その様子を見てニアは棒飴をガリッと噛み砕き 顔を顰める。
 だが一瞬の物思いから返りすぐに笑顔を作って見せた。
「そんな広く無さそうだしすぐ見つかりそうだよな。行こうぜ?」
「救うべきモノを救い、撃つべきモノを撃ちましょう」
 頷いたのは参式。
 その参式は異変に気が付いて足を止めた。
「まって……」
 その言葉に頷いてニアとカルアの首根っこをつかまえるアグラーヤ。
 壁に手を滑らせた。
 見えたのはまだ新しい切り傷。ざっくりと切り裂かれた壁には残虐さが見える。
 さぁ戦いだ、そう角を曲がってみればそいつはそこにいた。
 鋭い両腕を地面に叩きつけている。
 奇妙な動きを見てライセンサー達は足を止める。最初は……ただ習性としてそういう動きをしているのかと思ったが違った。
 赤い、血の滴る、肉の塊。
 職員の誰か……か、それとも子供か。
「そこを退いて」
 最初に動いたのはアグラーヤ。
 タックルで吹き飛ばすようにナイトメアにぶつかる。
 奇声をあげるスナッチ。振り上げた刃はニアが防いだ。
 その巨体をアグラーヤがじっと見上げる。
 死体から遠ざけるように仁王立つ。
「……こちらA班。目標Aと遭遇」
 その言葉をカルアが継いだ。
「戦闘開始だ」
 アグラーヤが振りかざすのは獅子王の名前を冠する刃。
 アグラーヤは右に回り、ニアが左に回る。
 それにスナッチは素早く反応。
 ニアへ切っ先をむけた。
 だがその腕にアグラーヤが一撃加えると硬質な音がして腕がはじかれた。
 ニアはその隙に身を低く、その刃をかいくぐる、鎌のような腕はニアの髪の毛を数本切断するのみでとどまり。がら空きの懐にニアは獅子王を叩きつける。
 一撃離脱。
 ニアはアグラーヤを守るように立ち、敵の次の出方を見る。
 その横っ面をカルアが打ち抜いた。参式が連続で弾丸を浴びせる。
 直後スナッチは弾丸を受けながらも地面を滑るように参式へと距離を詰めようとするがそれも無意味。
 その側面からアグラーヤがスナッチに刃を叩きつけ。
 動きが止まったスナッチはアグラーヤへと反撃を。
 その斬撃を打ち上げて、ニアがアグラーヤを守った。
「物騒なもん振り回してんじゃん? 腕が武器とか格好いいけど、あんたはダッセェな」
 その肩口に弾丸を撃ち込まれるスナッチ。見ればカルアの七二式試作狙撃銃から煙が上がっている
「主には忠誠を。お客様には歓待を。招かれざる悪夢には――銃弾を」
 体勢を立て直そうと前のめりになったスナッチ、その顔面に銃弾が浴びせられスナッチは仰向けに転んだ。
 アグラーヤがその隙を逃すわけはない。
 急接近。そして寝ころんだその体を切り上げる。
 スナッチの左腕が付け根から吹き飛ばされた。
 うろたえながら立ち上がるスナッチ、その無造作に振りかぶった刃はニアの頬をかすって空振り。
「うぉぁっ!? っぶねえぇ……」
 一瞬のバックステップ、その後距離を詰め
「眼の前ばっか見てっと足元掬われんぜ?」
 その足を斬り飛ばした。
 衝撃を殺し切れず地面を転がるスナッチ、片腕をつき呻きながら立ち上がろうとする。
 しかし、その喉元に切っ先を押し当てるのがアグラーヤとニア。
 チェックメイトである。


●第二章 捜索

 対してB班は二階を捜索していた。
『三代 梓(la2064)』はスマートフォンに接続されたインカムから状況報告をきいていた。
 こちらにはまだ異常はない。
 そう告げると改めて闇の中へ視線を向ける。
 殿を務めるのは『ナハト・シュヴェーアト(la0450)』
 襲撃に備える。
 だが状況はすぐに動き出す。まずはA班からの通信。
 スナッチと接触したという報告がアルフィンレーヌのスマートフォンから聞こえてきた。
「こちらも動きがあったよ」
 そうアルフィンレーヌの見据える先に見えたのは佇む少女、おそらく雛。
「雛ちゃん」
 そう駆け寄ろうとする梓をナーシャが遮った。
「まて、何かいる」
 次いでライセンサー達の背後を抑えたスナッチが唸りをあげた。
 そのナイトメアは四人であるライセンサー達を恐れることもなく突っ込んできたのだ。
「……ただでさえ大変な時なんだ、私達が冷静でいなければな……」
 告げたのはナーシャ。
「絶対に助ける……私を奮い立たせるには充分な言葉なんだ」
 ナーシャは鴎の涙を思う。
 もうあんなものは見ないために、力を得たのではなかったのか。
 ナーシャは武器を構える。
「あの子を保護する」
 その言葉に頷いて全員が手はず通りに動いた。
 先ずはナハトがスナッチの目の前に躍り出た。その攻撃を遮るように立ち、敵を睨む。
 そのナハトを無視してスナッチはアルフィンレーヌに突貫。
 不意を突かれたアルフィンレーヌは肩口からざっくりと切り裂かれる。
「こちらもスナッチと遭遇した。それと、雛ちゃんも」
 梓がインカムの向こうに報告を届ける。次いで梓はスタークレイモアを振りかぶり全力でスナッチへ叩きつけた。
 その攻撃を避けてスナッチは雛へと距離を詰めていく。
「どこにいくの?」
 アルフィンレーヌは起き上がると槍の柄を振りかぶる、その不意打ちを受けスナッチは階段へ押し込まれる。
 ナーシャのライトバッシュ。
 それでスナッチは階段を転げ落ちていった。
 ナハトはラヴィーネソードを構えて追撃のライトバッシュ。
 階下で鍔ぜりあう音が聞こえてくる。
 一瞬はなれ、梓がスイッチ。
 思い切り振りかぶったスナッチの刃と梓の刃が空中で火花散らせた。
 さらにはアルフィンレーヌが階段の数段上で体制を保持、身長差をなくして槍で顔面を刺突する。
 スナッチは刃をクロスさせそれを防ぐとさらにスナッチは後退した。
 ナーシャの狙撃銃がスナッチの足を打ちぬいた。その銃声で雛は現実が戻ってきたのか逃げ出そうと踵を返す。
「雛をお願い」
 今のタイミングなら、そう想いナーシャが告げる。するとナハトがはじかれたように走り出した。
 次いでナーシャがA班に雛の発見を伝えた。
「来ないで! こわい」
 雛がそう梓に問いかけると梓は叫んだ。
「私たちは敵じゃない!」
 しかし少女が聞く耳を持つはずもない。
 その間にスナッチとの戦闘も激化する。
「休む時間はなさそうだね」
 そう一階廊下で戦闘を続けていた参式はスナッチの眉間に弾丸を撃ち込むと優雅に一礼。
 踵を返すと曲がり角を曲がってスナッチの背後をとった。
 参式。カルアの射撃でスナッチは肩と腰に衝撃を受けた。
 体が紙のようにふっとぶ。
 地面を転がるスナッチを見下ろしてナーシャが告げた。
「救いを待ってる人がいるんだ、邪魔するなら……容赦は出来ない!」
 一撃のもと首を吹き飛ばし、ナーシャは振り返る。
 参式とアルフィンレーヌ、そして梓を見た。
「二階で気になる場所があったんだ」
 ナーシャは三人を連れ立ってその場所に向かう。
「向こうから声が聞える」
 今にも消えそうな歌声が。


●第三章 運命とは。

 ライセンサー達は重たく積み上がった瓦礫を撤去する。
 瓦礫が崩れる度に隠された部屋から悲鳴とざわめきが聞えた。
 幼い子供たちの声。姿。
 報告にある通りそこには六人の子供たちがいた。
 ただし。一人は瓦礫に挟まれ、そこに血だまりを広げている……のだが。
 アグラーヤは隅で震える子供たちの目の前に膝をおろし、全員の顔を覆った。
(見ないほうがいい。……見ないで済むなら、それが……)
 梓がひん死の少女の前に立ち、ぼそぼそと口にされるその言葉を聞く。
「もう大丈夫だ。アタシらがすぐに安全なところまで連れてってあげる」
 アグラーヤに聞こえるのは梓の声のみ。
「頑張ったね、強い子だ」
 そう梓が頭を撫でると雛が笑った気がした。
「必ず雛ちゃんのお母さんに伝える。約束だよ」
 そう梓が雛の目に手を当てると少女は静かに目蓋を下ろす。
「だから泣かないで。にっこり笑えるかな?」
 もう、その声は聞こえていない。それに気付いた梓が一瞬歯を食いしばった。
 その光景をアルフィンレーヌは黙って見つめていた。
「わたしが……『力』を失いさえしなければ……あの子だって。助けられたのに……どうして……どうして」
 そうアルフィンレーヌは奥歯を噛みしめる。
「歩くのが辛い者がいたら私がおぶろう」
 その後ナーシャは残された子供たちの手を取って一緒に脱出した。
「皆しっかり!あともうちょっとだ!」
 そう励ましながらエントランスに向かい。外に出られたなら子供たちは泣きながら親の元に駆け寄る。
 だがデイドリームはまだ処理されていない。
 全員が館内を捜索する。
 すると参式が一階にその姿を発見した。
 設置したウサギのぬいぐるみに歩み寄る人影、それはすでに雛の姿ではなかった。
 ぼろぼろで雛の外見の一部を有してはいるが、途切れ途切れの映像のように不安定だ。
 そのデイドリームに歩み寄り、参式はこめかみに銃を押し当てる。
「おか……さん。どこ?」
「あなたにお母さんはいない」
「おヵあさ!」
 次の瞬間デイドリームがはじかれたように走り出した。
 その動きに対応できず参式のそばをすり抜けられる。
 背中に何発か発砲すると弾丸は少女の体を貫通して血をほとばしらせた。
 エントランスに到着し、逃げようとするデイドリーム。
 だが、その行き先を遮ったのはニアである。
 出入り口を塞ぐ様に壁にもたれ 逃走時は退路を閉ざす。
「お兄ちゃん。あのね、お姉ちゃんがいじめるの」
 ふらつく少女の体。
「おにいちゃんも、いっしょなの?」
 じらじらと姿がゆらぎ、何度も人型の靄のようなものに置き換わる。
「私がいったいなにをしたっていうの?」
 ニアはそんな少女に歩み寄った。
「まだ、死にたくなかった、生きてたかった。おうちの鍵がほしかった。お母さんと一緒に」
 その少女を抱きしめてニアはその両目を覆う。
「ずりぃよ……そんなんさ……でも、お前は鴎さんの救いにはなんねぇんだよ」
 その背後からナハトが歩み寄る。
 離れるニア。かわりにナハトが後ろから刃でデイドリームを突き刺す。
 ニアの体を濡らす血がじらじらと揺らいだ。
 本来そこにはないものだと、改めて主張するように。
「いやだぁ、いやだよぉ」
「あなたを殺すのが私で良かったと思ってる。だって、大事な友人や仲間達に『ヒト』を殺したなんて罪悪感を抱かせずに済むから。
 例えナイトメアだとしても、無抵抗な少女の姿をしたモノを斬るなんて寝覚めが悪いからね」
 剣を引き抜くとデイドリームは空中で泡のように消える。
 こぼれた涙は地面に触れることなく、まるで夢のように蒸発してしまった。
 悪夢は終わったと言える。
 たった一人の命と。その少女の想いを犠牲に。


エピローグ

 梓はたった一人子供の帰らなかった親。
 鴎に歩み寄る。
 救急セットでの仲間の治療、子供たちの治療を済ませたあとだった。
 本音を言うとかける言葉が見つからなかった。
 だが誰かが話をしなければならない。
 その役目を梓が請け負った。
「雛ちゃんは。みんなを救った」
 その梓に鴎は敵意のこもった視線をむける。
「なぜあの子だけ死ななければならなかったんですか」
 その問いかけに梓は答えられるだけの言葉を持たない。
 ただ、これだけは使えなければ、そう梓は口を開く。
「にっこり笑ってお母さんのことが大好きだよって、そう言ったんです」
 次いで頭を下げた梓に、口を開こうとした鴎は口を閉じる。梓の拳が震えているのが見えたからだ。
「護れなくてごめんなさい」
 その姿を眺めながらニアは思った。
「俺がこうなったら……母さんも父さんも同じくらい……いや、戦える力が有る人達だから、もっと傷つくんだよな…… ……ここにあいつが居なくて良かった……」
 告げるとニアはぎゅっと握りしめた左手に静かに口付けた。
 遠くで救急車の音が聞こえる。戦いは終わったのだろうか。
 東京全体で起こった一連の事件。ここのような悲劇が無数に起こっているのだとすれば。
 きっとこの夜を忘れることはできなくなるだろう。
 しかし、夜は空ける。地平線には朝日が見える。
 悪夢の夜はこうして終りを告げたのだ。

成功度
成功

MVP一覧

重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧

一覧に戻る
推奨ブラウザ:GoogleChrome最新バージョン