ナイトメア・ジェネシス マスター名:青砥文佳

形態
ショート
難易度
難しい
ジャンル
危険
人数
68
相談期間
3
プレイング締切
08/30 24:00
完成予定
09/19 24:00

●雨が降る

 雨、雨、雨、鈍色の空は雨を落とし続けている。ライセンサー達は全身を重く濡らし、ナイトメアの大群を相手取る。
 場所は森の中、サマーキャンプに来ていたカップルがクマに襲われたとの通報を受け、今に至る。
「ああ! 誰だ、クマなどと……」
 誰かが呟き、汗を拭う。ライセンサー達は顔を強張らせ、辺りを見渡している。
 そう、ライセンサー達の任務はクマの駆除であった。それなのに??
「余所見をするな、右に行ったぞ!」
「おい、大丈夫か!」
 クマ型のナイトメアは重い体を揺らし、駆けずり回っている。ライセンサー達はクマ型のナイトメアに翻弄され、動きを鈍らせている。
 叫び声、血、汗が大粒の雨に流れ始める。
「しっかりしろ。連携するぞ……!」
「ええ……きゃっ!?」
 小柄なゼルクナイトがナイトメアのタックルを受け、地面を転がっていく。
「ちっ、邪魔だ……全て壊してやるよ」
 スナイパーが舌を打ち鳴らしながら小柄なゼルクナイトに群がるナイトメアの眼球を撃ち抜き、飛び込んできたスピリットウォーリアが剣を振るう。
 ナイトメアは衝撃で吹き飛ばされていく。
「ねぇ、大丈夫?」とスピリットウォーリアが小柄なゼルクナイトに手を伸ばす。
「ええ、ありがとう」と小柄なゼルクナイトは立ち上がり、泥水を全身から滴らせる。右腕が折れているようだ、顔をしかめている。
「……行ける?」
「ええ、まだ、左腕があるもの……二人で倒しましょう!」
 ゼルクナイトとスピリットウォーリアは頷きあい走り出す。一体のナイトメアにそれぞれの技を挟み込む様に同時に放つ。
 ナイトメアが吹き飛び、衝突した木を薙ぎ倒し、泥水の中に転がっていく。
「おい! そっちにいったぞ!!」
 傷を負ったグラップラーは誰かの声にはっとし、真横から飛び込んでくるナイトメアの攻撃を直前で左に避け、グローブ型のエクシスでナイトメアの顎先を打つ。
 衝撃が腕に伝わり、グラップラーは歯を食いしばる。衝撃で裂けたのだろう、脇腹の傷が鋭く痛む。
 痛みにふらつきながらグラップラーはナイトメアを見た。後方に倒れ込んでいる。
「……やったのか? いや??」
 グラップラーは顎を引き、両腕を構えた。身体がふらつき、外套が揺れる。雨が服を濡らし、その身を重くする。
 浅い息を吐き、グラップラーは口角を上げた。
「ああ、来いよ? 俺達はお前ら如きにやられるわけにはいかねぇんだ……」
 そして、立ち上がり向ってくるナイトメアをねめつけた。脇腹から血が溢れ出していく。
「う、上!? えっ……木、木に登っているの!?」
 突然、そう誰かが叫んだ。
 ライセンサー達ははっとし、上を向く。その瞬間、空からナイトメアが降ってくる。
「くそー、散れぇー!!!」
 ライセンサー達は瞬時に散り、大地が揺れる。
「ああああああああああああ!!」
 ナイトメアの攻撃を避けながらライセンサー達は必死に動き続ける。

●増援を求む

「緊急事態、緊急事態が発生しました! ライセンサー達はただちに出撃の準備を!」
 SALF本部のブリーフィングルームでオペレーターが任務の説明をし始める。
「通報時はクマとのことでした……ですが、実態はナイトメア集団であることが確認されています。ナイトメアの大群は現在、七体。そして、ナイトメア達は何かを探しているようです」
 オペレーターは唇を舌で舐め、口を開く。
「ライセンサー達は傷を負い、全てのナイトメアを処理することは不可能。そこで皆様にナイトメアを殲滅していただきたいのです」
 じゃあ、先にいるライセンサー達はどうするんだ? 彼らを守りながら戦うのは手間だ。そう、誰かが言う。
 オペレーターは目を細め、かぶりを振る。
「大丈夫ですよ。皆様が着いた時点で彼らはキャリアーに戻ってもらいます。ですので、皆様はナイトメアとの戦闘に集中してください。幸運なことに避難を必要とする一般人や倒壊の恐れのある建物は存在しませんので」
 オペレーターは息を吐き、「ただ、油断はしないでください! 視界は雨で遮られ足元は滑りやすくぬかるんでいます。では、準備が出来たライセンサーからキャリアーに!」と叫んだ。


●成功条件
全てのナイトメアの殲滅。
一体でもナイトメアを倒せなかった場合、失敗となる。

●ナイトメア 七体
 攻撃型のクマ型のナイトメアで1.8M程
 危険度は3でライセンサーと同等かやや劣る程度の能力を持つため、運が悪いと重症もありえる。
 二足歩行で四肢には強靭な爪、口には牙がある。身体は頑丈でタフ。
 木に登る。ナイトメア同士で連携し全身から沢山の触手を出す。
 触手は太く、一つ一つを此処に動かすことが出来る。切断は容易だが再生能力が発達している為、すぐに再生する。
 触手に触れても溶けたりしないがとても邪魔で厄介。

●状況
 雨が降り、視界は悪い。森に隠れる場所はないが木があちこちに聳え立つ。
 地面は短い草が生え、滑りやすくぬかるんでいる。
 事前に罠を仕掛ける、あらかじめスキルを使っておくなどは不可能。


方針はコレットに沿う

B-2囮、撹乱として行動
蓮華とペア

通信用に SALFヘルム

行動
相方より先行Bからの単独には注意
索敵時は前方と側面を要警戒し、雨による
輪郭のズレといった物を見のがさ無いよう警戒
上方は木のしなり具合を確認し何かいる等の判断基準とする

攻撃
連携はB内で可能な範囲でとる
触手による攻撃は要警戒特に死角からの攻撃を意識
攻撃を当てるよりは触手を弾くいなす等の回避方法で
気を引き、ペアの攻撃の通りを良くする様に動く
ペアの攻撃確認でねじ込む様な蹴り又は足払いで次に
繋げる様な攻撃、狙えるなら熊の弱点される鼻に踵落しを叩き込む
回復が尽きたら盾に持ち替え防御主体に変更
目的は敵の全滅
面子を4-4で分け、全員が囲まれないよう戦場を離れすぎず分けての戦闘
B-1班にて攪乱、攻撃役。囮を担いつつ攻撃して支援役、主に同じB-1支援に攻撃が向かないよう敵のヘイトを自分に引き付ける
敵との間合いと他の味方、A班の戦場との距離を見て位置取りを行う。敵がある程度弱ったら、ゆっくり次の敵に近づき、ラストヒットと次の敵への攻撃を同時に行えるようパワークラッシュを使用し、効率的に戦闘を行う
範囲攻撃を使う際には、絶対に味方を巻き込まないよう注意する
スキルの使用時や、敵の攻撃範囲の中で行動を終えてしまった場合、自分の足の下の地面を即座にギュッと踏み固める。踏み込みや回避の踏み切りを行いやすく、恐らくつくであろう命中や回避を軽減する狙い
頭上には常に気を配り、上からクマが降ってこないように木の下で移動を終えるなどは可能な限り避ける。

ぬかるんだ地面により自分たちだけでなく敵の回避も下がっているのではないかと予測
敵に仕掛ける際には移動攻撃も、敵との間合いがあった方がいいと判断できた場合等有用そうであれば使い、ヒット&アウェイを心がける。
但し味方のスキル数を考え戦闘を引き延ばすつもりはなく、可及的速やかに、可能であれば被害を少なく戦闘を行う。
A‐1ペア ティエリーと行動
A隊前衛攻撃役
通信手段はSALFヘルムを使用。
【行動】
味方に合わせて移動・行動
到着後、先任ライセンサーから情報を引継ぎ、適当に労う。
中にサブ武器2,3のオートマチックBD4SP2丁とメモ書きを忍ばせた救急治療セットを渡す。
『嗅覚』を用いて、敵の位置・頭数の索敵。
味方が触手に囚われた場合、切断する。
倒した熊からは触手を引き抜く、バディや増援の方へ敵が移動した場合、触手をロープのように利用。(バディや生命力が低い味方の元へ移動した場合に相手の触手と絡ませて行動阻害を図る等)

【戦闘】
パターン1
遭遇時はテンプレムシールドを装備し防御行動。
攻撃時はデザイアアックスに持ち替え、味方が範囲にいない場合はパワークラッシュを使用
パターン2
服飾のシールドを、ボード代わりに地面を滑走。滑る地面、パワークラッシュや他攻撃で抉れた地面を最大限利用しつつ、回避・攻撃等を行う。

生命点40以下でヒールを要請。
ピンチやあと一息という場面にてコレットに攻撃を要請。
A班として行動、TK‐01を射撃支援。全体方針は他に合わせる
同A班組と距離が開きすぎないよう注意し、はぐれそうになったら口笛を吹いてTKに知らせる。目標を捜索しながら、痕跡も探る。異常があれば他班へ連絡
○戦闘
樹上だけでなく、ぬかるんだ足元に注意し、地面からの触手の可能性も考慮する
樹上を移動されて厄介に感じたら、伝う先の木を撃って脆くするか破壊して転落もしくはバランスを崩させるのを狙ってみる
乱戦となった場合はA&Hに持ち替え、弾幕を張って触手を処理したり、味方の体勢を整えさせる時間稼ぎを行う
ポイントショットは火力を集中させる時か、味方が襲われている時に使用。触手は狙わず、本体の頭部を狙って怯ませるか、生え際付近に着弾させる
木々に視界を塞がれないよう、適度にクリアリングを行い、敵に回り込まれないように位置取りに注意、必要があればもう一方のA班もカバー、もしくはカバーしてもらう
熊型が7体、慌てず確実に潰していこうか
アドリブ歓迎

B-1:ジョナサンと組
靴に縄を何重にも巻き、即席の滑り止めに
足場は草や葉が積もっていない場所を主とする
通信での味方連絡は密
「視界、足場ともに不利ではあるが、獣如きの知恵に遅れを取るわけにはいかないな」

前衛ジョナサンをカバーできるやや後方位置
木々に爪痕がないか、不自然に枝や草が折れていないか等警戒
1匹のみ遭遇には上や周囲を警戒。囮とした奇襲の可能性大
「不自然な1匹だ。周囲警戒はこちらが受け持つ。深追いだけはするなよ」

ジョナサンの攪乱時に1撃離脱のヒットアンドアウェイ
頭上や死角からの奇襲には飛び込み迎撃
白兵が届かないならエネルギーガン射撃
当たらずとも牽制になれば
身長が低いことを利用。低い位置から懐に飛び込み、喉や心臓へ突き上げるような刺突
樹を蹴って加速、空中で回転し遠心力を乗せインパクトアタックを使用した刺突
急所や柔らかい場所狙い
「小さいからと舐めないことだ」

直撃にはラヴィーネソードを盾に
触手はハルバートに絡ませ地に刺す事で封じる
自分や味方の生命半分でヒール
「一端下がって回復を」
2体討伐か押される場合、B-2と合流
B班で4体以上討伐でA班と合流。残りを全員で殲滅
「やれやれ、これでは帰ったら身体は丸洗いだな」
・目的

クマっぽいナイトメアをかっこかわいく倒しちゃうんだから!

・動機

魔法少女れんげちゃん登じょ…すっごい雨!服びしょびしょ!
今回は名乗りなし!晴れてる時に来てよナイトメア!

クマがこんなに大勢歩いてたらもっと早く通報があったと思う。
このナイトメアはきっと急に出てきたんだ。
誰かがナイトメアを仕掛けたのかもしれない。クマより強い、誰かが。
今はこの子達の相手で精いっぱいのれんげちゃんだけど。
…いつか、そんな悪い事をする誰かもこらしめてやるんだから。・行動

作戦の前に、すっごい雨とぐちゃぐちゃの足場対策!
パーティー内の声掛けは【SALFヘルム】の通信機能で。
滑って転ばないように、靴には【花のヘアゴム】を巻いとく!この前習った摩擦力ってやつ。

AとBっていう4人組2つに別れるんだけど、れんげちゃんはB組。
組の中でも更に2つに分けるらしくて、れんげちゃんはヴラムさんと組むみたい。
後方支援だから…最初の内は【フォースアロー】で攻撃に専念するよ。
攻防が目まぐるしく入れ替わるだろうから、反応差で置いてけぼりにならないよう待機する事も考える。

【フォースアロー】を使い終わったら武器を【A&H FD5A】に持ち替えてこーげき!
【ヒール】はB組の人がピンチになったらのとっておきだよ。

クマのダイビングしてくるヤツ(多分範囲攻撃)怖いから近場の木は注意しとく!
「無駄口叩く暇はなさそうだな(戦闘中はチャラ節封印」
「臭くてゴメン(香水で嗅覚攪乱」

方針)最優先事項=敵殲滅を目指し、協調し各個撃破する。
手段)組分けし、互いにフォローしあう。囲まれたら一点突破。俺の組はA-2だ。
仲間内の連絡にはヘルムを使用。

以下、個人行動)
最前衛者から極力4枡以内に居て、樹上の様子に気を払う。
熊に気付いた際は『上に注意!』と情報共有。
コレットの行動に合わせ、協調して支援攻撃。
囲まれそうな時や敵を分断したい時は、足を狙って遠距離攻撃し、攪乱担当者を援護。
射撃後はリロードせず、マイページ上から順に持ち替えて攻撃。

基本行動)
遅らせて行動。
優先度は、生命回復>攻撃。あと一撃で倒せる場合は、遅らせず攻撃。
回復スキル使用)仲間の生命半減でヒール使用。
「敵を殲滅する」が最優先であり、ヒールを使える回数が限られているため、
被害小の者優先。
●全体方針
1)4人組(A隊・B隊)を2つ作成し、更に2人組(A-1とA-2、B-1とB-2)に分かれる
2)A-1,A-2,B-1,B-2それぞれ囮と攻めに分かれて行動
●個人行動
A-2
味方との通信手段:SALFヘルム。

葛城 武蔵介(la0849)と行動
ナイトメアに対しメイン装備スタークレイモアSP装備で、パワークラッシュを使用し、注意を引く。その後、テンプルムシールドSPに持替、ナイトメアを引き付け後退、防御専念。生命力消費し、攻撃をカット(生命力が半分以下の場合、カットしない)
ペンライトをナイトメアの瞳に当て続け気を引きつつ、後退。目の前の敵だけでなく周囲のナイトメアの動きに気を配り、味方に連絡。自身が攻撃の対象になった際は防御。葛城にナイトメアが攻撃の対象になった時は、カバーリングし、触手に捕らわれた際は切断。
ナイトメアの注意がこちらにではなく、A-1に向かった際は再度、スタークレイモアSPに持ち替え、ライトバッシュし、こちらに注意を引く。
●ナイトメアの数が半数以下時、スタークレイモアSP持替、パワークラッシュ使用(3回)スキル回数が切れた後は、ライトバッシュ使用。
※自身とペアの生命力に気を使い、生命力の半分になった際はA-1と合流。支援を求められた際は、メイン装備を長弓「飛鳥翔」に持ち替え、支援攻撃。こちらにナイトメアの注意を引く。注意を引いたら再びテンプルムシールドに持ち替え。


 空は雨を落とす。ライセンサー達は背筋を伸ばす。緊張した面持ち。大地は湿り雨が全身を打つ。視界も足場も悪い。誰かが指を指す。傷を負った先任者達が泥水を飛ばし駆ける。後方には数体のナイトメア。ライセンサー達は力強く頷く。二つの班を作る。AとB、そして、更に二つ。班が細かく別れていく。通信手段はSALFヘルム。ナイトメアはライセンサー達を追い掛ける。TK‐01(la1259)はグラップラーを見上げ、肩に触れる。
「お疲れ様です。今度は俺達がやります」
 TK‐01は丁寧な口調で労う。
「ああ、ありがとう。お願いする。気を付けろ、奴らは重くてタフだ」
 グラップラーは咳き込んだ。TK‐01は救急箱と自動式拳銃、二丁を手渡し仲間を追う。
 「来い」
 淡々とした声。B-2班のヴラム ストークス(la2165)だ。その瞳にはナイトメア。ヴラムはシルクハットを深く被り口許にシニカルな微笑を浮かべる。ヴラムは引き寄せたナイトメアに蹴りを放った。鋭い爪の一閃。触手が花のように散る。
「やるねぇ」
B-1班のジョナサン・M・エインズワース(la0419)は目を細めた。敵との間合いと味方、A班との距離を考え此処に立つ。
「まっ、おっさんも頑張るよぉ」
 ジョナサンは口笛を吹く。一体。遠くにもう一体。
「どうもー、おっさんでーす。覚えてくれなくていいから、早々にご退場願うぜ」
 ジョナサンは地面を蹴り上げた。
「目潰しってやつだ」
ジョナサンは笑う。ナイトメアが飛んだ泥に両目を押さえた。
「さぁ、たっぷり味わえ」
聞き惚れる程のバリトンボイス。ペアのジョナサンが引き付けた一体目掛けてトーヤ(la0375) が直剣を真横に振るう。口調とは裏腹にトーヤはキュートなカワウソボディを持つ。触手が切れナイトメアは倒れ込む。トーヤは離れつぶらな瞳でナイトメアを見据えた。靴には縄が巻かれている。
「気を付けろ。不自然な1匹だ。周囲警戒はこちらが受け持つ。深追いだけはするなよ」
トーヤは鼻を鳴らす。雨と泥によって自慢の体毛は汚れていた。蓮華(la0001)がペアのヴラムを見る。
「魔法少女れんげちゃん登じょ……って、すっごい雨! 服びしょびしょ! もおっ! 今回は名乗りなし! 晴れてる時に来てよ、ナイトメア!」
蓮華は頬を膨らませながら杖をナイトメアに向ける。桃色の長い髪が大きく揺れる。蓮華は可愛らしい所作でフォースアローを放つ。
「うん! れんげちゃん、がんばる!」
 蓮華は怒り狂うナイトメアに微笑む。此方側には三体。一方、A-1班のティエリー・ハウシュカ(la0718)はナイトメアを捜している。
「……何処?」
 ティエリーは大きな瞳を地面に向ける。地面には足跡。立ち止まる。
「……足跡が途切れてる。これは……」
 ティエリーの片目に木が映る。
「……いた。これがこの世界の熊……? 少し歪……まぁ、この世界の鯨は海を泳ぐと聞くし、触手が生えているくらい普通なのかな……?」
「ちょい待ち。あんな熊が動物園にいたらひっくりかえっちまう」
 ペアのTK‐01がナイトメアを見上げる。
「ぷんぷん臭うっつーの……で、一体だけか」
TK‐01は嗅覚1を使いナイトメアの数を把握する。TK‐01は盾を構えた。ティエリーは静かに驚く。
(……色が変わって)
TK‐01の全身が闇色に染まり髪は黄ばんだ白髪へと変色し始める。ナイトメアが飛び降りた。
「へっへっへ、盛大に暴れてやらぁ!」
 TK‐01がにやりと笑う。

(ナイトメアは何処に……あ、音が聞こえます!)
A-2班のコレット・アストレア(la0420)は青い瞳を細める。
「この身を捧げる覚悟はできています。いざ参ります、ナイトメア!」
 コレットは両刃の大剣を構えた。飛び出すナイトメア。コレットはパワークラッシュを発動させようと。
「あれ?」
 コレットは途端に顔を赤らめる。猿だ。目の前に猿が立つ。猿は首を傾げ、走り去る。
「左だ、左から来るぞ!」
葛城 武蔵介(la0849)が鋭く怒鳴る。武蔵介は樹上の様子に気を払いながらナイトメアを探していた。軟派な雰囲気は何処にも見当たらない。武蔵介はサブマシンガンを撃つ。ナイトメアは被弾しばったりと倒れ込んだ。香水の香りが雨に混じっている。
「……無駄口を叩く暇はなさそうだな」
 武蔵介は呟く。ナイトメアは立ち上がり、周囲の臭いを確かめている。やがて、不快そうに唸る。
「臭くてゴメンな」
 武蔵介は笑う。A班にはナイトメアが三体。一体足りない。警戒を強める。ナイトメアの瞳にはヴラム。ナイトメアは踏み込んだ。触手の全てをヴラムに放つ。
「まったく、触手とはいい趣味だな」
 ヴラムは回転し太い触手を蹴りでいなす。ナイトメアは地を踏み、耐え忍ぶ。
「うおぉ! これ、おっさん役立たずと化してねぇ!? 大丈夫!? あー、びっくりした!」
 ジョナサンは叫ぶ。胸を押さえながら二体の咬みつきを回避する。ナイトメアがTK‐01に爪を振り下ろす。
「おらああっ!」
TK‐01は怒鳴り盾で向ける。
「──っあ!!」
衝撃に全身から水飛沫が飛び散る。TK‐01はナイトメアを睨みつける。
飛び出したナイトメアの先にはコレット。
「コレット!」
 武蔵介が叫んだ。コレットは唇を噛み締めイマジナリーシールドでナイトメアの触手を受け止めた。シールドが揺らぐ。


ヴラムは動く。
「とっととクタバレ、三下」
ヴラムはインパクトアタックをナイトメアの腹部にお見舞いする。ナイトメアが大量の涎を流す。ヴラムは後方に下がる。
「ねぇ、視界にはおっさんだけを映してよ?」
軽い口調。だが、顔つきは真剣そのもの。怖いくらいだ。
(落ちてこられたら厄介だからね)
ジョナサンは頭上に気を配りながら誘き寄せたナイトメアの頭部に回転蹴りを放ち、後退する。トーヤが迎撃。ナイトメアの触手が千切れ瞬く間に再生していった。蓮華はフォースアローを放つ。ナイトメアの膝に矢が突き刺さる。咆哮。ティエリーはナイトメアの声を聞いた。ティエリーは状況を確認する。まだ、ナイトメアは一体も倒れていない。そして、仲間も。遮断された視界にナイトメア。
「狩りはボクら星の民の嗜み……。熊くらい狩れないと、一人前の男じゃ、ない」
ティエリーは息をそっと吐きながらTK‐01と対峙するナイトメアの頭部に筒口を向ける。引き金を静かに絞った。ポイントショットの勢いにナイトメアの身体が跳ねる。
「おっしゃあ! 食らえっ!」
TK‐01が盾でナイトメアの顎先を打つ。ナイトメアは転倒し泥水に濡れる。
「超・衝撃波〈メガ・パワークラッシュ〉!」
コレットは立ち上がったナイトメアに攻撃を仕掛けた。ナイトメアは口を大きく開けた。
「このタイミングで決める! その口、閉じるんだな!」
武蔵介がコレットを援護する。銃声。ナイトメアの眼球が弾ける。ナイトメアは仰け反るように吠える。ナイトメア達は触手を伸ばしたが捕獲は失敗に終わる。ヴラムは振り返る。後方には蓮華。
「その触手、口の中に突っ込んで腸ぶちまけてやる」
ヴラムはナイトメアの足を払う。ナイトメアは傾く。ジョナサンは傷をなぞり思案する。ナイトメアとの距離、仲間との距離。その全てを考えている。ジョナサンは手を叩く。ナイトメアと視線が合う。顔に雨が当たる。
「てめぇらのヘイトは全て、俺が引き受ける!」
ジョナサンは膝蹴りをし真横に飛び退く。トーヤはエネルギーガンに持ち替え、後方に移動。
「れんげちゃんは滑らない! えいっ!」
蓮華は地を駆ける。靴に巻き付けたヘアゴムの摩擦力で地を踏み、フォースアローを。
「当たったよ!」
ナイトメアが転がっていく。蓮華は拳を握り締める。ティエリーはスナイパーライフルを撃ち真横に移動する。TK‐01 は片刃の斧に持ち替えナイトメアから離れる。コレットはナイトメアを見据えた。盾に持ち替えナイトメアを煽る様に前方に移動する。武蔵介はコレットから十メートル程、離れた場所にいる。武蔵介は上空からの攻撃を警戒している。
「何処だ、何処に隠れている……?」
 はっとする。
「上に注意!」
武蔵介はヘルムで叫んだ。武蔵介はサブマシンガンでナイトメアを撃つ。舌打ち。当たらない。ナイトメアは消えていく。その方向はB班。ナイトメア達は唸りながら後退する。濡れた触手が踊る。ライセンサー達は喘ぐ。ナイトメアとライセンサー達は互いに譲らない。泥に滑り、降る雨に気力を奪われる。激しい乱戦。班同士が合流しナイトメアの触手攻撃を回避する。
「しゃあっ!」
唐突にジョナサンが叫ぶ。チャンスを掴んだのだ。双眸には損傷の激しいナイトメア。
「壊れてくれよ?」
ジョナサンは身を捻り、全力のパワークラッシュ。ナイトメアは左回転し木に激突する。
「ん? もう一発くらいか……あと、フォロー頼んだ!」
 ジョナサンは飛び退く。
「うん! れんげちゃんがこーげきする! 最後のフォースアロー!」
間髪入れずに蓮華の矢がナイトメアを貫く。ジョナサンは笑い、蓮華は歓喜の声を上げる。ようやく一体倒したのだ。ライセンサー達の士気が上がり始める。
(行けるか?)
ヴラムは辺りを見る。攻撃範囲内にナイトメア。触手は真新しいがその身は傷ばかり。身体はとても重い。それでも──
「弱点は此処だろう」
ヴラムは鋭い視線を向け、ナイトメアに鼻先に踵落しを叩き込んだ。ナイトメアは顔を強かに打ちつけすぐに動かなくなる。ヴラムはヘルムで報告する。
「クマさん、こっちだよん?」
ジョナサンは顔を蒼ざめながら戦場を駆ける。トーヤが目を凝らしエネルギーガンをナイトメアに撃ち込む。当たらない。
「かっこかわいく治しちゃうんだから!」
蓮華がジョナサンのシールドを回復させ右に移動する。ティエリーはスナイパーライフルでナイトメアの足を撃つ。射撃支援。TK‐01が斧を振り下ろし触手と腹部を切断する。ナイトメアは真っ二つになる。
「どこを見ているのです、ナイトメア。あなたの敵はこちらですよ?」
コレットはペンライトをナイトメアの瞳に当て続ける。注意を引きながら後退。ナイトメアの動きに気を配りつつ小まめな連絡をする。武蔵介はシールドの破損が少ないTK‐01を回復させる。今度はナイトメアの攻撃だ。地響き。ナイトメアが視線を彷徨わせる。ジョナサンが咄嗟に大きな声を出す。その瞬間、ナイトメアが触手でジョナサンを固定し爪を振り下ろす。ジョナサンは目を見開き、爪先に力を込めた。
「うあっ」
 ジョナサンは吐息を漏らし頭を下げた。皆、ジョナサンが倒れたことを知る。僅かな混乱。A班が対峙するナイトメアが身を翻す。
「行かせません!」
 コレットは盾をナイトメアの背に叩きつけポカンとする。振り返ったナイトメアが右肩に食らいついた。歪んでいくシールド。
「くっ、簡単にはやられません……」
コレットはナイトメアの顔を盾で強打する。ナイトメアが倒れ動かない。遅れてコレットが泥に沈む。シールドが砕け散る。ライセンサー達は身を震わしナイトメアの攻撃を回避する。ヴラムはヒールを自らに使い移動する。Aは一体、Bは二体のナイトメアを残す。トーヤが直剣に持ち替え間合いを取り、蓮華がサブマシンガンに持ち替える。ティエリーとTK‐01はナイトメアに駆け、武蔵介がヒールをティエリーに。
戦場に戦慄が走る。ヴラムが触手に捕まったのだ。触手をいなそうとし泥に滑った。ナイトメアは甲高く鳴く。無数の触手にヴラムは溺れていく。ライセンサー達は呆然とする。ナイトメアはヴラムを抱き締めるかのように触手を巡らす。シールドが少しずつ壊れていく。
「来るな……」
ヴラムはもがきながら呻いた。そして、瞬く間にシールドが破壊されてしまう。


トーヤは直剣をナイトメアに振り上げ、下がる。後方からサブマシンガンで蓮華が援護する。ナイトメアは倒れない。ティエリーがサブマシンガンに持ち替え息を潜める。武蔵介は行動を遅らせずにナイトメアを撃つ。TK‐01が引き抜いた触手をナイトメアの首に巻き付け、転倒させる。ナイトメアはもがき息絶える。A班は駆け出す。コレットは置いていくしかない。

ナイトメアは暴れている。両手と触手を使い、トーヤのシールドを一気に削り、弾き飛ばす。トーヤはナイトメアの重い攻撃を直剣で受けようとしたのだ。
「小さいからと舐めないことだ」
トーヤは呟く。衝突する前に樹を蹴り加速。そして、回転。遠心力を乗せたインパクトアタックがナイトメアの頬を突く。ラスト、一体。
「れんげちゃんがかいふーく!」
蓮華はトーヤのシールドを回復させ左に移動する。可愛らしい動きに目を奪われそうになる。
「ボクが……止める」
合流したティエリーが銃弾を鼻先に撃ち込んだ。ナイトメアが吠える。その声には憎しみ。
「次で決めてやる」
武蔵介は弩に持ち替え息を潜める。
「熊野郎、食らいな!」
TK‐01が服飾に装備した盾を使い滑走。ナイトメアを弾き飛ばす。ナイトメアは尻餅をつく。TK‐01は慌てて触手から逃れる。
「無理は出来ない」
トーヤはヒールで自らのシールドを回復させる。
「れんげちゃんの華麗なるこーげき! えいっ!」
蓮華は首を撃ち抜く。立ち上がったばかりのナイトメアは後退する。触手がぱっとその身から飛び出す。ライセンサー達は眉を寄せる。
「勝つのは……ボク達」
その直後、ティエリーが撃つ。弾幕。激しい音とともに白いもやが辺りを覆う。ナイトメアは吠え、破損した身体から触手を生む。触手は艶かしく揺れる。
「消えな」
武蔵介は矢を射る。ナイトメアは目を見開いた。鋭い音と同時に腹部を貫いた矢は周辺の触手を吹き飛ばし、ナイトメアを木に固定する。ナイトメアはむちゃくちゃに身体を動かした。みしみしと木が揺れ、呻く。ナイトメアの瞳には走るTK‐01。ナイトメアは触手を伸ばす。TK‐01の身体に沢山の触手が触れるその刹那、TK‐01は跳躍する。
「飛び散れえっ!」
TK‐01は右足に触手を絡ませ強引にパワークラッシュを顔面に放った。ナイトメアの頭部は消えその身は前のめりに倒れていった。
「帰ったら身体は丸洗いだな」
トーヤは木にもたれかかり、蓮華とTK‐01がヴラムとジョナサンに駆ける。ティエリーと武蔵介がコレットの元に向かおうとしはっとする。応急処置を終えたライセンサー達。ゼルクナイトがコレットを横抱きしスピリットウォーリアの手には自動拳銃。グラップラーはメモ帳をTK‐01に振る。
「これ、読んじまったからよ。来ないわけにはいかないだろ?」
 そこには【先輩方、我々はナイトメアとの戦闘は初めてです。可能であれば、キャリアーにて治療が終わり次第、その銃で攪乱と援護をお願いします】と書かれていた。
「よくやった、お前らの作戦勝ちだ」
グラップラーは笑い、誇らしげに叫んだ。

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